福田組は、NECNECソリューションイノベータ(東京都江東区)、演算工房(京都市)と共同で、山岳トンネル工事において掘削出来形を画像で確認する「Te-S(ティーエス)アシスタント」を開発した。

 現場で撮影した複数枚の画像から点群データを生成する「SfM(Structure from Motion)」技術を活用して、撮影後わずか2分ほどで、設計値と比較した掘削深さの過不足を色分けして表示する(図1、2)。インバート部の掘削の出来形管理に用いる場合、必要な画像の枚数は10枚前後を想定している。

図1■ 複数枚の画像から生成
図1■ 複数枚の画像から生成
SfMで生成した点群データの例(資料:福田組)
図2■ 掘削深さの過不足を色分けで表示
図2■ 掘削深さの過不足を色分けで表示
インバート部の掘削出来形を確認できる(資料:福田組)
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 掘削前に、GCP(既知座標点)となるマーカーを設置して、GCPを含むように掘削箇所を複数枚、撮影する。撮影した画像は、無線LANでタブレット端末に自動転送される。次いで、解析ソフトがGCPを認識し、点群データを生成。掘削箇所の形状と設計図面とを比較して、掘削の過不足などの結果を自動で表示する。

 新潟県で施工中の「竹ケ鼻トンネル」の一部区間で、インバート掘削の管理に適用し、システムの有効性を確認した。10枚前後の画像を用いて、精度±10~15mm程度の面的管理を実現。処理時間は、演算に1分30秒ほど、描画に20秒程度を要した。

 これまで、山岳トンネル工事における掘削の出来形確認は、作業員が目視で行っていた。インバート部を掘削する場合は、目視で大まかな確認をした後に、基準値からの開き具合をスタッフや定規などの器具を用いて、数人で測定していた。

 目視による確認作業には、15分程度を要していた。掘削作業を中断する必要があるため、測定する箇所が限られ、点的な管理とならざるを得なかった。さらに、切り羽での目視確認は、作業員が接近して行うため、崩落事故に巻き込まれる危険もあった。

 開発したシステムでは、基本的には作業を中断する必要はない。ただし、撮影する箇所に施工機械が写り込まないようにするのが望ましい。撮影とタブレット端末の操作は1人でも可能だ。

 市販のカメラとタブレット端末があれば導入可能な「Te-Sアシスタント」は、3次元スキャナーによる掘削の出来形管理と比べて、コストを大幅に抑えられる。加えて、取り扱いやすい。

 開発したシステムは、国土交通省中部地方整備局が発注した「平成30年度 東海環状岐阜山県第一トンネル東地区工事」での採用を予定している。今後、外販することも視野に入れる。