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 大成建設と建設機械のレンタル事業を手掛けるアクティオ(東京都中央区)は、山岳トンネル工事において、オペレーター1人で鋼製支保を建て込む工法「T-支保工クイックセッター」を開発した。省人化できるだけでなく、危険な切り羽付近での作業や高所作業を減らせる。

 支保部材をつかんで設置する通常のエレクターを用いる。作業用バスケットに、ラインレーザーとモニタリングカメラを装備するだけでよい。どの機種でも後付けできる。

 作業順序はまず、エレクターで2つの支保部材をつかんでつなぎ合わせる(写真1)。

写真1■ 大成建設がアクティオと共同で開発した「T-支保工クイックセッター」工法で、支保部材をつなぐ様子。エレクターの作業用バスケットにラインレーザーとモニタリングカメラを搭載。操縦席で映像を確認しながらエレクターを操作している(写真:大成建設)
写真1■ 大成建設がアクティオと共同で開発した「T-支保工クイックセッター」工法で、支保部材をつなぐ様子。エレクターの作業用バスケットにラインレーザーとモニタリングカメラを搭載。操縦席で映像を確認しながらエレクターを操作している(写真:大成建設)
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 継ぎ手部には大成建設が開発した「ワンタッチ式継ぎ手ボルト」を使う。バネを組み込んだ爪構造で、片方の支保部材にあらかじめ設置しておき、もう片方の支保部材の継ぎ手部に設けた穴に差し込むと、爪が開いてつながる仕組みだ(写真2)。

写真2■ 大成建設が開発した「ワンタッチ式継ぎ手ボルト」(写真:大成建設)
写真2■ 大成建設が開発した「ワンタッチ式継ぎ手ボルト」(写真:大成建設)
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 次に、ラインレーザーが支保を建て込む位置を照射。それに合わせて建て込みを完了する。オペレーターは切り羽から10m程度離れたエレクターの操縦席で、モニタリングカメラの映像を見ながら操作する。

 実証実験では、掘削断面積110m2程度の大断面トンネルの新設現場で、支保6基分を施工した。支保1基当たりの施工時間は10分程度。従来工法に対して約30%短縮できた。従来はオペレーター1人と作業員4人が必要だったが、オペレーター1人で安全に作業できた。

 従来の支保建て込み作業は、オペレーターの操作以外に、作業員による人力での位置調整が欠かせなかった。特に支保の部材同士の締結や位置合わせは、危険な切り羽近辺での作業となるため、切り羽から土砂や岩が剥がれ落ちる「肌落ち災害」に作業員が巻き込まれる危険性が高かった。

 大成建設は2021年度中に、自社が施工する全ての山岳トンネル現場で、T-支保工クイックセッターを標準工法に位置付ける考えだ。

 他社が開発した同様の省人化技術は専用のエレクターが必要な場合が多いが、T-支保工クイックセッターはエレクターの種別を問わず採用できる。ラインレーザーとモニタリングカメラによるガイダンス装置は外販を予定している。