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 清水建設デンカは、生コンクリートの凝結が始まる時間を調整して早期の仕上げ作業を可能にする「アドバンストコンクリートフィニッシュ(ACF)工法」を実工事に初めて適用した(写真1)。気温5℃の低温下でも、打ち込みから1時間ほどで仕上げ作業に着手できる。作業員の負担軽減やひび割れ防止に効果があると確かめた。

写真1■ ACF工法で使う混和材はサルフォ系塩を主成分とする無機系の粉末。セメントや水と混ぜ合わせることで、初期の水和反応を緩やかに促進する。発熱などのデメリットもない(写真:清水建設)
写真1■ ACF工法で使う混和材はサルフォ系塩を主成分とする無機系の粉末。セメントや水と混ぜ合わせることで、初期の水和反応を緩やかに促進する。発熱などのデメリットもない(写真:清水建設)
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 スラブなどの打ち込みでは通常、セメントの水和反応が進むのを待ち、凝結が始まってから表面をコテなどで仕上げる。気温が低いと水和反応に時間がかかるので、冬季や寒冷地では午前中に打ち込んでも夜遅くまで仕上げ作業に着手できない場合があった。作業員の労務時間が長くなるうえ、表面に浮き出るブリーディング水が増えて品質の低下を招く。

 ACF工法では、初期の水和反応だけを促進する粉末状の混和材「デンカACF材」を使用。現場でアジテーター車に入れて撹拌(かくはん)する(写真2)。

写真2■ 実工事への適用の様子。アジテーター車に投入後、ドラムを回転させて混ぜ合わせる(写真:清水建設)
写真2■ 実工事への適用の様子。アジテーター車に投入後、ドラムを回転させて混ぜ合わせる(写真:清水建設)
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 ACF材の投入量と凝結開始時間には相関がある。例えば気温が10℃の場合、コンクリート1m3につきACF材を2kg加えれば2時間、6kgだと6時間、それぞれ早まる。気温に左右されず、凝結が始まる時間を調整できる。

 低温下の打設では、急硬材などの混和材料や早強セメントを使っていた。事前の配合設計やプラントでの練り混ぜが必要なため、打設日の気温などが想定と違うと、柔軟な対応が難しかった。ACF材を使うと、作業時間を一定の範囲内に収められる。

 清水建設は、くにうみウインド1号合同会社が青森県中泊町で進める風車建設工事にACF工法を適用した。対象は打設した約700m3のフーチングのうち、表層の約80m3だ。

 気温5℃で、コンクリート1m3当たり3.3kgのACF材を投入。打ち込みから仕上げ着手までに要したのは約1時間だった。ACF工法を使わない場合に比べ、4時間以上早く打設を終えられた。仕上げの難しい傾斜面ではブリーディング水の発生を抑え、沈降ひび割れを防いだ。

 デンカはACF材の2021年冬の販売開始を見込む。積算価格は1kg当たり2000円の予定だ。