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 三井住友建設はAI(人工知能)を使った安全注意喚起システムを開発した。2021年5月から、建築と土木の6現場において朝礼時の危険予知(KY)活動で試行している(写真1)。

写真1■ 安全注意喚起システムをタブレットで表示し、危険予知活動で災害事例を確認する様子(写真:三井住友建設)
写真1■ 安全注意喚起システムをタブレットで表示し、危険予知活動で災害事例を確認する様子(写真:三井住友建設)
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 タブレットやパソコンでシステムに接続し、その日の作業内容をリストから選ぶと、AIが過去の災害事例から、作業に関連したものを表示する仕組みだ。

 安全注意喚起システムを使った危険予知活動の流れはこうだ(図1)。まずはアカウントを持つ社員が、リストの中から職種や作業内容、使用する機械を選択。続いて、「雨が降っている」「高所作業あり」など、その日の作業の特徴を自由に打ち込む。すると、AIが過去に発生した災害データを分析し、3秒程度で20件ほどの事例を表示する。

図1■ 作業に関連する災害データをスコアリング
図1■ 作業に関連する災害データをスコアリング
安全注意喚起システムで災害事例を表示する流れ。タブレットやパソコンを使って、その日の作業内容をリストから選択する。AIがクラウド上のデータベースを検索し、類似している作業の災害事例を抽出して表示する(資料:三井住友建設)
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 同じ作業を継続する場合、危険予知活動で一度使った事例は一定期間表示しない。この機能によって様々な災害事例を確認しやすくなり、マンネリ化の防止につながる。

 リストには、とび工、鉄筋工など163職種、鉄筋組み立て、型枠解体など273種類の作業内容、クレーン、丸のこなど231種類の機械・機材を登録済みだ。作業を担当するグループごとに、その日の作業状況に合致する条件の災害事例を検索する。

 災害事例は、同社で過去に発生した5000件ほどをデータベース化した。発生日時や年齢、入場後の日数、経験年数、災害の型、負傷程度、発生状況の概要などを登録している。新たな災害情報は簡単に追加できる。

 安全注意喚起システムは使うたびに、AIが検索条件下における単語の重要度を学習。その重要度に基づいて災害事例を分析し、点数を付ける。点数が高い順に状況が類似している事例だと推測して示す。

 開発したシステムに採用したAIは、自然言語処理に特化したデータ解析を手掛けるFRONTEO(フロンテオ)(東京都港区)の持つ「KIBIT(キビット)」だ。キーワード検索ではなく、文章の意味を理解して類似性を評価する。

 三井住友建設は、開発したシステムを21年度中に全現場で導入する予定だ。