全834文字
PR

 大成建設は、測位衛星による位置情報が得られないトンネル坑内で建機の位置を把握する技術「T-iDraw Map(ティーアイドローマップ)」を開発(写真1)。同技術を使ったクローラーダンプの自動運転に成功した。建機に3次元レーザースキャナー(3D-LiDAR(ライダー))を取り付けて、周囲の3次元地図を作製しながら自己位置を推定するSLAM技術を用いる。

写真1■ T-iDraw Mapを搭載したクローラーダンプは、国土交通省国土技術政策総合研究所の実物大の模擬トンネルや施工中のトンネルの現場で、延べ22.2kmほどを走行。性能を確認した。起動や停止などの操作は、現地に設けた遠隔操作室から無線で指示した(写真:大成建設)
写真1■ T-iDraw Mapを搭載したクローラーダンプは、国土交通省国土技術政策総合研究所の実物大の模擬トンネルや施工中のトンネルの現場で、延べ22.2kmほどを走行。性能を確認した。起動や停止などの操作は、現地に設けた遠隔操作室から無線で指示した(写真:大成建設)
[画像のクリックで拡大表示]

 トンネル坑内では、GNSS(全球測位衛星システム)の電波を受信して位置情報を取得するのが難しい。トータルステーションで建機を自動追尾して座標を計測する手法はあるものの、トンネルに曲線部があったり障害物があったりして光波が届かなくなると見失ってしまう。

 T-iDraw Mapでは3D-LiDARでトンネルの壁面や進路上の障害物を計測して、3次元の点群データから成る「環境地図」を作り出す(図1)。同時に、壁面との距離などから機体の位置を推定。2つのデータを建機内で処理して、あらかじめ定めたルートに沿って走る。走行ルートを決めるため、事前にオペレーターが運転して環境地図を作っておく必要がある。

図1■ 3次元点群データから走行ルートを決める
図1■ 3次元点群データから走行ルートを決める
点群で作るトンネル坑内の「環境地図」と走行ルート。SLAM技術は、パナソニック アドバンストテクノロジー(大阪府門真市)の不整地走行向けロボティクスを活用した。大成建設によると、衛星による位置情報が得られないトンネル坑内で無人建機の自動運転を実現したのは国内で初だ(資料:大成建設)
[画像のクリックで拡大表示]

 建機の進行方向に障害物を見つけた場合は、自動で減速してルートを変更する。障害物を避けた後は、元のルートに戻る。遠隔操作による経路変更も可能だ。

 クローラーダンプは車体が大きいため、3D-LiDARのレーザーと機体が干渉しやすい。粉じんや路面の凹凸による振動といった建設現場に特有の問題もある。そこで大成建設は、限られた点群データでも機体の位置を正しく推定できるように改良を施した。

 開発のベースとしたクローラーダンプは、大成建設と建機メーカーの諸岡(茨城県龍ケ崎市)が2019年に発表した「T-iROBO Crawler Carrier(ティーアイロボクローラーキャリア)」だ。GNSSで位置情報を得て、自動で土砂を運搬する。画像処理技術を使って作業者を検知し、減速や緊急停止を判断するといった安全対策も実装済みだ。