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 建設3Dプリンターの開発を手掛けるスタートアップ企業のPolyuse(ポリウス)(東京都港区)と前田建設工業は、老朽化した集水升を建設3Dプリンターで造形したものに更新した(写真1)。

写真1■ 建設3Dプリンターで造形した集水升を施工している様子(写真:Polyuse)
写真1■ 建設3Dプリンターで造形した集水升を施工している様子(写真:Polyuse)
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 集水升を設置した場所は、茨城県取手市にある前田建設工業ICI総合センターのICIキャンプ内だ。建設3Dプリンターで造った土木構造物の実用化は珍しい。

 集水升は円筒形で、直径が1m、高さが1m、厚さが15cm程度。排水管などと接続するため、壁面の2カ所に穴を開けている。

 型枠に打設して造る従来の集水升は、施工費用を抑えられることなどを理由に、直方体の形状が一般的だ。建設3Dプリンターは造形の自由度が高いので、今回は円筒形に仕上げた。内部を流れる水の力が均等に伝わるため、部分的に劣化する箇所が生じにくい。

 さらに、同程度の雨水処理能力を持つ直方体の集水升と比較すると、材料の体積を2割ほど削減できる。

 集水升は現場で造形した。使用した建設3Dプリンターは幅が約3m、奥行きが約2.5m、高さが約2.3m(写真2)。門形(ガントリー形)のフレームで構成されており、サイズの変更や組み立てが容易だ。

写真2■ 集水升の造形に使った3Dプリンター。雨を避けるため、テントで覆った(写真:Polyuse)
写真2■ 集水升の造形に使った3Dプリンター。雨を避けるため、テントで覆った(写真:Polyuse)
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 フレーム内でノズルが動いて材料を射出する。ノズルはX軸、Y軸、Z軸で自在に動き、射出位置を調整しながら層を積み重ねていく。集水升の造形には3時間半ほどかかった。型枠を造る手間が省けるだけでなく、型枠の廃棄も不要になる。CADデータ通りに構造物を造形できる。

 ポリウスの岩本卓也代表取締役CEOは「分解した建設3Dプリンターの機材は車に納まるサイズだ。持ち運びから組み立て、撤収まで現場の建設従事者だけでできるようにしたい」と意気込む。集水升を足掛かりに、将来は大型構造物でも実用化を目指す。