小泉製麻(神戸市)は、標識や照明などの柱脚を高強力な不織布で防食する「NEac(ネアック)工法」を開発した。現場での材料の加工が不要で、炭素繊維巻き立てによる防食工法などと比べてコストや工期を抑えられる。
開発した工法は同社の特殊技術を用いて、柱脚の形状に合わせて不織布を成型できる点が大きな特徴だ(写真1)。現場では成型した不織布を設置するだけなので、特に難しい作業を要しない。
現場での施工手順は以下の通り。まずケレンなどで下地処理した後、エポキシ樹脂の接着剤を下塗りし、成型した不織布を貼り付ける。次に、ローラーで再度接着剤を塗りながら空気を抜き、仕上げ材のポリウレタン樹脂を上塗りすれば完成だ(図1)。
不織布にはポリエステルを使っており、厚さ3.2mmで引張強度は1mm2当たり13Nだ。厚さ1.5mmの鋼板単体と比較すると、同2.8mmの不織布を貼った鋼板は、曲げ荷重が約2倍以上になる(図2)。
部材 | 厚さ(mm) | 曲げ荷重(N) |
---|---|---|
鋼板 | 1.5 | 139 |
ネアック工法で施工した鋼板 | 1.5+2.8 | 322 |
従来、柱脚の防食で使っていた炭素繊維やアラミド繊維などによる巻き立て工法と比べて、材料費や施工費を大幅に減らせる。
ネアック工法は形状に合わせて自由に成型できる点を生かして、標識や照明、ガードレール、フェンス、看板、手すりといった道路構造物の小規模付属物の地際への使用が考えられる。そのほか、ボルトやナットの締め付け箇所、溶接継ぎ手部などへも適用することが可能だ。
小規模付属物の柱脚部はゴミや雨水、塩分などがたまりやすく、腐食が進行すれば、亀裂や倒壊につながる。標識や照明などは対象数が多いため、安価で簡易な防食工法が望まれていた。
小泉製麻はこれまでに、ガードレールなど数件の試験施工で開発した工法を採用している。