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 日本ペイントホールディングス傘下の塗装メーカー、日本ペイント・インダストリアルコーティングス(東京・品川)は、路面に塗って自動運転車の走行を支援する塗料「ターゲットラインペイント」を開発し、常時運行する自動運転バスの走行ルート上に初めて施工した。これまで数日間の実証実験に使ったことはあったが、長期間にわたる定常運行で活用したことはなかった。

 ターゲットラインペイントは、自動運転車が障害物などを検知するためのLiDAR(ライダー)センサーで認識できる塗料だ。路面に塗ることで、自動運転車が搭載したライダーセンサーで読み取り、正確な位置情報を取得しながら、レールに沿うように走行できる。山林やビル街、トンネル内など全球測位衛星システム(GNSS)の電波が入りにくい環境でも、自動運転が可能になる。

 そうした特殊な機能を持つ塗料でありながら、色はアスファルトに近く、道路舗装の上に塗っても目立ちにくい(資料1)。ドライバーなどが車線や停止線など道路標示と誤認しないように配慮した。

資料1■ 路面に塗っても目立ちにくい
資料1■ 路面に塗っても目立ちにくい
アスファルトと同系色のターゲットラインペイントを塗った路面。ライダーセンサーで認識できる(出所:日本ペイントホールディングス)
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 今回、ターゲットラインペイントを施工した現場は、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)。構内を走る自動運転バスの循環ルートのうち、公道区間を除いた1.3kmに塗った。自動運転シャトルバスは慶応義塾大学SFC研究所と神奈川中央交通が2022年5月に共同で始めた実証実験で、運転手が乗って走行支援する「レベル2」で運行する。