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 清水建設は、コンクリート用3Dプリンターで埋設型枠を造形するのに適した繊維補強モルタル「ラクツム(LACTM)」を開発した(写真1)。3Dプリンターを使って現場作業を省力化し、技能者不足に対応する。

写真1■ 清水建設が開発したラクツムをコンクリート用3Dプリンターで積み上げている様子。厚さ0.7cm、秒速10cmのペースで押し出している。ノズルを変えることで、幅は2~8cmまで対応できる(写真:清水建設)
写真1■ 清水建設が開発したラクツムをコンクリート用3Dプリンターで積み上げている様子。厚さ0.7cm、秒速10cmのペースで押し出している。ノズルを変えることで、幅は2~8cmまで対応できる(写真:清水建設)
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 ラクツムは通常のモルタルに使うセメントと砂に、長さ6mmの合成繊維を加えて粘性と固まった後の靭(じん)性を高めている。さらに高性能減水剤で固まる時間を制御し、シリカフュームで強度を上げた。

 ラクツムの圧縮強度は110N/mm2、曲げ強度は10N/mm2と、一般的なコンクリートよりも高い。高強度・高靱性の材料を埋設型枠として使い、部材の構造性能や耐久性能の向上を狙った。

 実験では、幅2~4cm、厚さ0.7cm、秒速10cmのペースで押し出して、高さ2.1mの柱型枠を約2時間で造形できることを確認した(写真2)。プリント完了から20時間後には、コンクリートを打設できる強度となった。

写真2■ ラクツムをコンクリート用3Dプリンターで積み上げて、柱用の型枠を高さ2.1mまで造形している様子。型枠は約2時間で造形できた(写真:清水建設)
写真2■ ラクツムをコンクリート用3Dプリンターで積み上げて、柱用の型枠を高さ2.1mまで造形している様子。型枠は約2時間で造形できた(写真:清水建設)
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 3Dプリンターで型枠のような薄い構造物を作る場合、通常のモルタルだと高さ10cmほどで形状を維持できなくなって崩れてしまう。崩れないようにモルタルが固まるのを待ちながら積むと、作業の効率化につながらないという課題があった。

 通常のモルタルの積層面には気泡や空隙が生じやすく、水や空気が入って劣化の原因となる。一方、ラクツムは固まるのを待たずに積めるため、積層面を一体化できる。固まったラクツムの切断面の吸水速度を測定したところ、一般的なコンクリートの品質基準を上回った。

 現時点で外販の予定はない。実際の構造物に導入し、現場での型枠の組み立てや解体作業を省くことで、施工時間の短縮を目指す。