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目次
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山岳トンネル工事の翌日の湧水量を予報
清水建設は、山岳トンネル工事の進捗に応じて変化する切り羽前方の湧水量を、デジタルツインとAI(人工知能)で定量的かつ高精度に予測する「地山予報システム」を開発した。翌日以降の湧水量を常に予測しながら施工するため、想定外の湧水リスクを回避でき、現場管理者の作業負担を軽減する。
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セメント不要のコンクリート補修材
バンテリンなど医薬品の事業を手掛ける興和(名古屋市)が、土木・建築の補修事業へ力を入れている。同社は劣化したコンクリート構造物に適用可能な、セメントを使わない常温硬化型ジオポリマー系補修材「GP MONDO K」の販売を2021年10月に始めた。今後、欧州での製造も視野に入れている。
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油圧ショベルの土砂積み込みを自律化
大林組とNEC、大裕(大阪府寝屋川市)は、共同で開発した油圧ショベルの自律運転システムをトンネル工事の土砂の積み込みに適用する実証実験を実施した。関東地方の現場で異なるメーカーの2台の油圧ショベルを使い、土砂置き場からの土砂の掘削やダンプトラックへの積み込みを自律化した。
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PCaパネルで風力塔の高さを1.5倍に
會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市)は、プレキャストコンクリート(PCa)のパネルで既設の陸上風力発電タワーを大型化し、発電効率を4倍強に高める工法「VT」を開発した。高さ80m級の鋼製タワーを120m級にかさ上げできる。風を受ける羽根(ブレード)を大型化し、発電コストを約半分に抑える。
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衛星画像で農園を遠隔管理
UCC上島珈琲(神戸市)と国際航業は、衛星リモートセンシングを用いて大規模コーヒー農園における炭素固定などの効果を定量的に評価する手法の開発に乗り出した。遠隔地から農作物の生育を高精度で管理する手法も探る。内閣府宇宙開発戦略推進事務局が公募する実証プロジェクトに選ばれた。
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地震で破損しやすい埋設管を特定
東電設計(東京都江東区)は、取水管など線状の埋設構造物の地震リスクを評価する手法を開発した。埋設管を長さ1~3mごとに細分化して分析することで、地震によって破損する危険性が高い箇所を特定できる。2021年9月1日にサービスを始めた。
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橋の更新用ガーダーを出水期も残置可能に
熊谷組と横河ブリッジは、河川に架かる橋梁の更新工事において、上部・下部構造の撤去から新設まで1つの仮設ガーダーを使い回す「KPYダブルユースガーダー工法」を共同開発した。
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建設会社16社がロボット開発で連携
鹿島と清水建設、竹中工務店を幹事とする建設会社16社は、建設ロボット・IoT(モノのインターネット)分野の研究開発を共同で実施する「建設RXコンソーシアム」を2021年9月22日に設立した。
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床版と舗装を一体化する接着防水材
東亜道路工業と土木研究所は、アスファルト混合物の舗設時の熱で融解する接着防水材で、床版とアスファルト舗装を一体化する「樹脂防水一体型アスファルト舗装」を共同開発した。福岡北九州高速道路公社の福岡高速5号線で試験施工して、性能を確認済みだ。
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デジタルツインとAIを維持管理に適用
NTTコムウェアは、現実世界を仮想空間で再現する「デジタルツイン空間」で社会インフラを管理・運営するサービス「Smart Data Fusion(スマートデータフュージョン)」の提供を開始した。多様なデータを統合して、エネルギーをはじめ、通信、土木など社会インフラ事業のDX(デジタルトランスフォー…
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次世代の地下空間を鋼矢板で安く造る
大林組とトヨタ自動車未来創生センター、豊田中央研究所(愛知県長久手市)は、道路の地下に電線や物流システムなどインフラを効率的に配置する次世代道路構想「ダイバーストリート」の実現に向けて動き始めた。鋼矢板を使って地下空間を構築する短工期かつ低コストの施工法を開発した。
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大型杭打ち機が不要な洋上風車基礎
大林組は、大型の杭打ち機が不要な着床式洋上風車の基礎「スカートサクション」を秋田県沖に1年間設置し、50年に1度の高波に見舞われても大きな変状が生じない性能を確認した。2020年代後半にも着床式洋上風力発電事業への導入を目指す。
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砂防堰堤で災害復旧初の自動化施工
鹿島は砂防堰堤の本体構造の一部となる複数のプレキャストコンクリート(PCa)ブロックを、自動で据え付ける技術を開発した。操縦機構や吊り上げ装置を取り付けた汎用のバックホーが、ブロックに貼ったAR(拡張現実)マーカーをカメラで認識してブロックを自動で積む。砂防堰堤の工事を発注した国土交通省近畿地方整…
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VRで臨場感ある現場研修
建設会社向けの研修などを手掛けるハタコンサルタント(名古屋市)は、VR(仮想現実)関連のシステム開発などに取り組むSynamon(シナモン)(東京都品川区)と共同で、ボックスカルバートの工事現場を対象とする安全パトロール研修のVR用教材を開発した。施工管理技術者向けの研修で使っている。
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光照射で車線変更を促す
阪神高速技術(大阪市)とテクノ阪神(大阪市)、大日本印刷は、高速道路の工事などで車線規制している範囲よりも手前の路面に矢印形の光を照射し、早めの車線変更を促す「規制工事予告技術」を共同開発した。予告看板に「小型照明装置」を取り付けるだけでよい。
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現場監督は全自動ドローン
フジタとセンシンロボティクス(東京都渋谷区)は、全自動で飛行・離着陸するドローンを使って建設現場の日々の出来高測量と安全巡視を無人化するシステムを共同開発した。ドローンの操縦者や目視確認を担う補助者の2人が不要になる。
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CO2水の噴霧でコンクリートを修復
繊維資材メーカーの小泉製麻(神戸市)は、コンクリート表面の微細なひびを修復する炭酸ナノバブル水の噴霧器を開発している。2021年春に、東京大学大学院の野口貴文教授らの研究成果を独占的に実施できるライセンス契約を締結した。
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締め固め状況を可視化
清水建設は、打設時の締め固め状況をAI(人工知能)で分析して可視化する「コンクリート締固め管理システム」を開発した。経験が少ない担当者でも締め固め完了のタイミングを適切に判断し、コンクリートの品質を安定させられる。
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建設汚泥の中和でCO2吸着
汚染土壌処理のコンサルタント事業などを手掛ける京葉鈴木グループのKSJ(東京都江戸川区)は、大手エネルギー企業の製造プラントから出る未利用の低濃度二酸化炭素(CO2)ガスを使って、建設汚泥を安価に中和する共同研究を始めた。実用化すれば大量のCO2の固定を期待できる。
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視覚でうるさい音が分かる
飛島建設と早稲田大学基幹理工学部表現工学科の及川靖広教授の研究室は、音の計測結果を実空間に重ねて即時に表示する音響可視化システム「OTOMIRU(おとみる)」を共同で開発した。建設現場から漏れる重機の音の探査などに使える。