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「特殊な地盤」を事故の理由にしてはいけない
山川 純也(建設会社、56)

 東京都調布市で2020年10月、住宅地を通る市道が大きく陥没した。大深度地下では1カ月ほど前、東京外かく環状道路(外環道)のトンネルを掘進するシールド機が通過したばかりだった。過去に同様のトンネル工事を担当していたので、事故原因に注目している。

 日経コンストラクション1月25日号の特別リポートにある通り、発注者である東日本高速道路会社は、陥没とトンネル工事との因果関係を認めた。しかし、新聞報道などによると、東日本高速は「掘削したのは細粒分が少ない特殊な地盤だった」と釈明している。家屋に生じた損傷などは個別に補償するものの、陥没は想定外であり、工事に過失はなかったと言いたげだ。

 これでは、住民が工事再開に納得しないのではないだろうか。発注者や施工者が「特殊な地盤」を事前に見抜けず、再び同様の事故を起こす恐れがあるからだ。

 トンネル工事は自然が相手だ。特殊な地盤をなぜ見抜けなかったのか、今後は見抜けるようにどんな対策を打つのか、そこを説明しなければならない。想定外の地盤が現れても安全に掘進できるようにするのが、技術者の腕の見せどころだろう。