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職人的な「カン」には現場経験が不可欠
長谷川 忠男(81、無職)

 建設業が3K(きつい、汚い、危険)といわれるようになって久しい。それが原因で業界に入ってくる若者も減ってしまった。

 ただ最近では、働き方改革で週休2日制を取り入れた現場が増えたり、ICT(情報通信技術)の進歩で業務の効率化が図られたりするなど、改善してきたように思う。まだ十分とはいえないだろうが、私が働いていた頃と比べると感動を覚えるほどだ。

 その一方で危惧することもある。これからの技術者はICT機器の扱い方ばかりがうまくなって、建設業の基本であるものづくりのプロセスをどこまで身に付けられるのかということだ。機器を扱うオペレーター的な立場になってしまわないかと心配になる。

 ICTは仕事の効率化や足りない部分を補ってくれる。しかし肝心な部分ではいつの時代になっても、人間の「カン」といった、知識や最新技術だけでは補えないものがあるように思う。

 そうした職人的なカンを身に付けさせるために、若手には3Kと呼ばれるような現場を経験させることも必要ではないか。老婆心ながら、そんなことを思っている。