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補修技術者の育成には実践の場が必要
岩切 史人(50、建設コンサルタント会社)

 約20年の建設会社勤務を経て、現在は建設コンサルタント会社の橋梁部に所属している。毎年10人前後の新卒採用があるが、橋梁部は定年後再雇用の部長以下、ベテランが中心だ。主力業務は既設橋梁の点検と補修設計で難度が高いためだ。

 既設橋梁は経年劣化や過去の補修で表面に凹凸、傾斜などがあったり、部材の断面寸法が途中で不規則に変わったりする。隠れた部位が損傷していることもある。こうした千差万別の現況を正確に把握し、図面化して補修方法を検討するには高度な技術力や判断力が必要で、ベテランにふさわしい業務だといえよう。

 しかし、ベテラン技術者は現役のうちに若手を育成し、技術を受け継いでもらわなければならない。そのためには点検や補修を実践する現場の数が不可欠だ。

 点検や補修を継続して実施するためには、予算の確保だけでなく、業界の枠を超えた人材の確保も求められる。例えば、東京五輪のような大イベントがあると、交通誘導員が不足して、点検や補修の現場が滞る恐れがある。たとえ短期間であっても、若手の育成には痛手となる。国や自治体に幅広い対策を期待する。