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オンラインでは代替できない現場業務
木村 渉(64、維持管理会社)

 新型コロナウイルスの感染拡大が及ぼした影響は建設産業でも大きい。従業員の勤務形態には、在宅勤務の導入促進という形で表れた。

 高速道路の維持管理を担う当社も例外ではなく、在宅勤務の頻度が最も高い時期には1日おきにまで上がった。社員間のコミュニケーションにオンライン会議システムなどICT(情報通信技術)を多用するようになった。

 コミュニケーションのオンライン化は、社内会議や発注者、取引先との打ち合わせでは、一定の効果が得られている。他方で、点検や補修など現場での業務は、遠隔で行う技術がどれほど発展しても、まだ実際に現場に出向くことには替え難いだろう。

 その面で心配なのが技術系の若手社員の育成に及ぶ影響だ。構造物を実見し、作業員と交流する経験が不足すると、現場で問題の本質を見抜き、正しい判断を下すという技術力の養成が遅れるのではないか。

 2021年10月時点では、感染状況が落ち着き、在宅勤務の頻度は週に1日にまで低下した。現場で若手の教育が十分にできるよう、願わくはこの状況が継続してほしい。