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「前田道路の15件」で偽装拡大

 小規模な案件が多い水道工事では、一般的に地域の中小の建設会社がメーンで関わる。ただし、堺市の件では全国展開の大手が偽装に絡んでいたことで、大きな注目を集めた。

 問題の15件の工事は全て、表向きには前田道路が販売する改良土を使ったことになっていた。道路舗装大手であるとともにアスファルト合材など材料のメーカーでもある同社は、堺市が指定する改良土メーカーの1社だった。

 しかし同社は15年10月以降、改良土の製造を基本的に休止している(写真1)。そのことを市に報告していないばかりか、架空の納品伝票を施工者に発行していた。施工者はこの偽装で材料の経費を“節減”するメリットがあったとみられる。一方で、前田道路がどのような見返りを得たのかは分かっていない(図1)。

写真1■ 大阪府泉大津市にある前田道路の泉北合材工場。アスファルト合材の製造とともに、かつては改良土の製造や廃材の処分も手掛けた。堺市の材料偽装の“舞台”となった(写真:日経コンストラクション)
写真1■ 大阪府泉大津市にある前田道路の泉北合材工場。アスファルト合材の製造とともに、かつては改良土の製造や廃材の処分も手掛けた。堺市の材料偽装の“舞台”となった(写真:日経コンストラクション)
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図1 ■ 堺市水道工事の不祥事の全体像
図1 ■ 堺市水道工事の不祥事の全体像
取材を基に日経コンストラクションが作成
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 堺市は15件の施工者とともに前田道路も入札参加停止とした。市と直接の契約関係にない前田道路は、本来ならばそうした措置の対象にはならない。工事会社として市の入札参加資格を持っていたために、対象に加えられた。市は同社が不正に関与したことを明示するため、あえて変則的な措置を講じたのだ。

 しかも前田道路の入札参加停止期間は、施工者の2倍に当たる1年だった。同社の代表的な事業である舗装工事でも法令違反を犯していることが影響した。東日本高速道路会社や東京都などが発注した複数の工事で、ほかの大手舗装会社とともに関わった舗装談合だ。堺市はこの件で16年に同社を入札参加停止にしたばかり。停止期間中か期間満了後、3年以内に別の不祥事が発覚すると停止期間を倍増させる規定に沿って、1年に延長した。