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大阪市は「抜き打ち」を日常化

 大阪府内で水道工事の材料偽装が発覚したのは大阪市が最初だ。17年に明らかになり、周辺の自治体を巻き込む大問題に発展した。

 大阪市で起こった上水道の偽装は、上層路盤の埋め戻し材に粒度調整砕石ではなく、下層路盤と同様の再生砕石を、下層路盤の下に市への報告と異なる粒度分布の改良土を使っていた。大阪市で発覚した案件ではそのほか、水道管を図面より浅い位置に埋設し、既設の下水管との交差で上下関係を逆にしてしまう重大な施工ミスもあった(写真2)。

写真2■ 大阪市の水道工事で材料偽装が初めて発覚した住吉区沢之町2丁目の現場(写真:大阪市)
写真2■ 大阪市の水道工事で材料偽装が初めて発覚した住吉区沢之町2丁目の現場(写真:大阪市)
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 大阪市は施工者が材料偽装を犯した理由を、「材料費を“節減”してもうけを増やしたのではないか」(水道局東部水道センターの江口勝彦所長)と推測している。

 同市が段階的に実施を始めた再発防止策も、堺市に劣らず厳しい内容が盛り込まれている(図3)。

図3 ■ 大阪市水道局が新規に打ち出した再発防止策
開始時期 発注者 施工者
2017年9~12月
  • 施工者から提出された材料メーカーの納品伝票の写しを原本と照合する
  • 埋め戻し土などのサンプルを採取する
  • 施工者と下請け会社が取り交わす注文請け書などについて、従来は金額だけを確認していたが、原本の照合と契約内容の審査を徹底する
  • 主任技術者などの配置技術者が施工計画の作成と施工管理を適切に行っていることを、書類だけでなく定期的なヒアリングでも確認する
  • 工事品質を確保するうえで重要なポイントを設定し、その履行を確認するまで施工者が次の工程に進めないようにする
  • 従来は月に1、2回だった抜き打ちの現場チェックの頻度を増やす
  • 工事月報に添付する工事記録写真を充実させる(月報の写真の点数は5~6倍以上に増加)。重要なポイントの写真は日報にも添付する
2018年3月
(1カ月繰り上げ)
 
  • 材料メーカーの出荷証明書(コピー不可)を提出する
2018年11月
  • 必要な能力を持つ施工者を確保するため、監理技術者または主任技術者に、配水管技能者などの資格の保有を義務付ける
  • 総合評価落札方式の入札手法を導入する
 
2018年度
  • ICT(情報通信技術)を活用した施工管理システムを検討する。現場にいる施工者がタブレットで入力する工事関係情報を別の場所でモニタリングできるようなシステムを構築する
  • 施工者が高い施工管理能力を効率的に発揮できるように、発注規模の見直しを進める
  • 高い技術力を持つ施工者を評価できる仕組みの導入を検討する
 
取材を基に日経コンストラクションが作成

 材料偽装対策では、工事現場での発注者側による材料のサンプル採取を、改良土と再生砕石、粒度調整砕石の3種類にわたり実施する。採取する量は1種につき約1kgだ。監督員は施工者に予告せずに現場へ採取に行くため、材料が未搬入で手ぶらで帰る場合もある。職員の負担増は避けられない(写真3、4)。

写真3■ 大阪市が水道管の埋め戻しで採取する改良土(左)、再生砕石(中央)、粒度調整砕石(右)の各サンプル(写真:日経コンストラクション)
写真3■ 大阪市が水道管の埋め戻しで採取する改良土(左)、再生砕石(中央)、粒度調整砕石(右)の各サンプル(写真:日経コンストラクション)
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(写真:大阪市)
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(写真:大阪市)
(写真:大阪市)
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写真4■ 大阪市のある水道管敷設工事での埋め戻しの現場。使用材料は上から改良土、再生砕石、粒度調整砕石(写真:大阪市)
写真4■ 大阪市のある水道管敷設工事での埋め戻しの現場。使用材料は上から改良土、再生砕石、粒度調整砕石(写真:大阪市)
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 しかも、採取後のサンプルが適正であることを確認したら廃棄するのではなく、契約図書と同じ扱いで竣工後5年間保存する。資料の保存スペースの拡張も必要になるだろう。

 水道管の施工ミスでは、施工者が提出した工事記録写真に既設下水管との位置関係を写したものがなかったことから、再発防止策では提出写真の充実を施工者に求めている。従来は工事月報での提出だったが、現場の重要なポイントの写真は日報にも添付するように改めた。月報で求める写真も増やした結果、施工者が提出する工事記録写真の点数は5~6倍になった(写真5)。

写真5■ 工事記録写真がより多く求められるようになったことで工事月報のページ数は増加した。右が現行の月報(写真:日経コンストラクション)
写真5■ 工事記録写真がより多く求められるようになったことで工事月報のページ数は増加した。右が現行の月報(写真:日経コンストラクション)
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 市職員にも工事品質の確保に向け監督の強化を求め、監督員研修のテキストを新たに作成した(写真6)。

写真6■ 材料偽装や施工ミスの再発を防ぐため、監督員を務める市職員向けの研修用テキストを新たに作成した(写真:日経コンストラクション)
写真6■ 材料偽装や施工ミスの再発を防ぐため、監督員を務める市職員向けの研修用テキストを新たに作成した(写真:日経コンストラクション)
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