土木のチカラ
目次
-
「つなぐ」にこだわった線路跡地整備
小田急線線路跡地の街づくり(東京都世田谷区)
「シモキタじゃないみたい」。東京都世田谷区にある小田急電鉄の下北沢駅南西口を出てすぐの場所に、緑に囲まれた遊歩道と野原が広がる。都市にある駅前広場とは思えない光景に、現地を訪れた人が驚いていた。
-
柔らかさと力強さが同居する復旧橋
久杉橋(山口県岩国市)
計1266本のヒノキ材が壁高欄をすっぽり覆った独特な橋が、山口県岩国市に誕生した。ヒノキ材の醸し出す柔らかな雰囲気と、橋に近づくにつれて見え方が変化する力強さが同居している。2018年の西日本豪雨で被災し、県が新たに架け替えた「久杉橋」だ。
-
街を見渡せる楕円の空中歩廊
アクティブリンク(札幌市)
札幌市の新さっぽろ駅周辺地区で、市道に“浮かぶ”楕円形の物体が新設された。2022年7月に一部で供用開始した空中歩廊の「アクティブリンク」だ。壁一面をシール目地とガラスで構成しており、柱などはない。
-
使いながらつくり続けた散歩道
記紀の道(宮崎県西都市)
のどかな田園風景に、昔からあったかのような小道が続いている。国特別史跡で日本最大級の古墳群を有する宮崎県西都市が、17年の歳月をかけて整備した逢初川(あいそめがわ)歩行者専用道路「記紀の道」だ。
-
“ぐるぐる階段”の歩道橋を移転利用
笹川パークブリッジ(三重県四日市市)
2022年5月、三重県四日市市の笹川環状1号線で分断していた2つの公園をつなぐ横断歩道橋が架かった。「笹川パークブリッジ」だ。らせん状の斜路付き階段を2周回って上り下りする。その形状から地元の子どもたちからは、“ぐるぐる階段”という愛称で親しまれている。
-
百寿を超えたケーブルで吊る赤い橋
美濃橋(岐阜県美濃市)
岐阜県美濃市を流れる長良川に、“百寿”を超えるケーブルの吊り橋が架かっている。10年近い修復事業期間を経て、2021年3月に供用を再び開始した美濃橋だ。緑の山並みに鮮やかに映える赤い補剛桁が特徴的だ。
-
過ごし方を自由に選べる「彫刻」のある広場
阪急神戸三宮駅前広場「さんきたアモーレ広場」(神戸市)
空中に飛び出た座面で読書する人がいれば、中央が膨らむ楕円体に寝転ぶ人もいる。阪急神戸三宮駅前に2021年10月、リニューアルオープンした「さんきたアモーレ広場」だ。彫刻のような造形物がベンチやテーブルとして機能する。
-
かさ上げのまちと川をつなぐ公園
川原川・川原川公園(岩手県陸前高田市)
浅い川の流れを包むように、広大な水辺空間が広がる。東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市が土地区画整理事業の一環で整備した「川原川公園」だ。面積約3.9ヘクタールの公園を貫き南北に流れるのは、津波の遡上で被害を受け、県が復興整備した「川原川」。県と市が足並みをそろえて川と公園を一体的に…
-
港や公道をまたぐ都市型ロープウエー
YOKOHAMA AIR CABIN(横浜市)
地上約40mの高さへと上昇するゴンドラの窓の外に、ランドマークタワーやベイブリッジなど横浜ならではの景色が次々と現れた。
-
大人も子どもも楽しめるトラス橋
森村橋復元・広場整備工事(静岡県小山町)
富士山麓に位置する町、金太郎生誕の町、東京五輪・パラリンピック2020の自転車競技ロードレースのゴールとなった町──。様々な異名を持つ静岡県小山町に、新たな名所が誕生した。復元した森村橋だ。
-
駅前デッキが普段使いの空間に
藤沢駅北口ぺデストリアンデッキ「サンパール広場」(神奈川県藤沢市)
JR藤沢駅(神奈川県藤沢市)の2階改札から駅前デッキに出ると、大きく視界が開けた。木陰のベンチで本を読んだり、人工芝の広場で座り込んだり──。公園のようにくつろぐ人々の姿が見える。
-
まちに開いた“棚田”の公園
九段坂公園(東京都千代田区)
坂道を上っていくと、歩道との境界をなくした開放的な公園が現れた。東京都千代田区の千鳥ケ淵沿いに2020年3月、リニューアルオープンした「九段坂公園」だ。東京五輪・パラリンピックを契機に、千代田区が整備した。
-
三角形断面の鋼製桁がうねる旋回橋
リリーランゲブロ(デンマーク・コペンハーゲン市)
「北欧のパリ」と称されるデンマークの首都、コペンハーゲン市。歴史的建造物が数多く残る南東部のクリスチャンハウン地区と市の中心部とをつなぐ自転車・歩行者専用の鋼橋「リリーランゲブロ」が、2019年夏に完成した。
-
渓谷の脇役に徹する扁平アーチ
天龍峡大橋(長野県飯田市)
水面からの高さは80m。橋から天竜川を見下ろすと、水墨画のような渓谷美が広がる。長野県飯田市に架かる鋼上路式アーチ橋「天龍峡大橋」は、自動車専用道路の橋の桁下に、検査路を兼ねる歩道を添架した珍しいつくりだ。途中2カ所にある展望デッキでは多くの人が足を止め、渓谷だけでなく、間近に迫る橋の部材などにも…
-
川と街に開いた“壁”のない防潮堤
エルベプロムナード(ドイツ・ハンブルク市)
北海に注ぐエルベ川の河口から上流に約100km。ドイツ北部の港湾都市であるハンブルク市に2019年5月、全長625mの防潮堤が完成した。
-
官民連携で渋谷に浮かぶ“空中公園”
MIYASHITA PARK(東京都渋谷区)
東京・渋谷駅から100mほど北に2020年7月、「渋谷区立宮下公園」がリニューアルオープンした。公園があるのは、3層にわたって店舗などが入る複合施設「MIYASHITA PARK」の屋上だ。立体都市公園制度を活用して、民間の商業施設の上に載せた公共の“空中公園”が実現した。
-
ビルの谷間に架かるY字の人道橋
さくらみらい橋(横浜市)
横浜港に注ぐ大岡川の河口から100mほど上流に2020年6月、人道橋「さくらみらい橋」が架かった。橋から海側を望むと、都会らしい夜景が飛び込んでくる。
-
極薄32mmのダクタル床版
浅野学園創立100周年記念リングおよび広場(横浜市)
標高35mほどの丘を登ると、頂上に空中回廊が姿を現す。横浜市にある中高一貫校、浅野中学・高等学校のキャンパスに2020年3月に完成した「浅野学園創立100周年記念リングおよび広場」だ。
-
極上の眺望へいざなうデザイン
長崎稲佐山スロープカー(長崎市)
最大勾配は20度余り。丸みを帯びた車両が緑深い山の尾根伝いに最大毎分80mの歩くようなスピードで上っていく。2020年1月に運行を始めた斜面走行モノレール「長崎稲佐山スロープカー」だ。
-
前代未聞、橋面を20mかさ上げ
ベイヨン橋のかさ上げ工事(米国ニューヨーク市~ベイヨン市)
米国の東海岸に、「世界で最も美しい」と呼ばれる鋼橋がある。1931年に建造された橋長2kmを超す中路式アーチのベイヨン橋だ。年間350万台の交通量を誇る同橋で、道路を供用しながら橋面を約20m上に付け替える前代未聞の工事が実施された。パナマ運河の拡張に伴って増加する超大型タンカーを、橋の下に通すた…