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[路地空間の「山頭火の小径」]
足跡をたどって散策を楽しむ

 2019年には、松崎地区から100mほど南側にある「山頭火の小径(こみち)」の整備も完了した。東西方向に620m延びる幅2mほどの路地空間だ(図3)。17年に開館した「山頭火ふるさと館」の敷地から、すぐ小径に出られる。

図3■ 視線の先をスポット的に整備
図3■ 視線の先をスポット的に整備
「山頭火の小径」の計画図。サインと句碑の位置や数は現状と異なる。防府市の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 もともと自由律俳句の俳人・種田山頭火が小学校時代に通った道で、現在も小学生の通学路に使われている。「改修前は舗装が老朽化し、ルート案内も不明瞭だった。訪れた山頭火ファンが道に迷うことが多く、快適に回遊できなかった」。防府市土木都市建設部都市計画課の小川淳史主任はこう話す。

 デザインは松崎地区を手掛けたイー・エー・ユーが担当した。崎谷浩一郎代表は次のように説明する。「もともと水路やレンガ塀が続く趣のある道だった。せっかくの雰囲気を損ないたくないと考え、スポット的な整備を市に提案して実現した」

 出入り口部分や趣が残るスポットなど計14カ所で舗装を整備(写真7、8、9)。ユニークなのは、山頭火の足跡をイメージした真ちゅう製のオブジェを埋め込み、進路を示したことだ。「先が見え隠れして次に行ってみたいと期待させる路地になった」と、市都市計画課の林一伸副主幹は言う。

写真7■ 曲がり角など迷いそうな箇所は真ちゅう製の足跡をあしらって、さりげなくルートを示した(写真:生田 将人)
写真7■ 曲がり角など迷いそうな箇所は真ちゅう製の足跡をあしらって、さりげなくルートを示した(写真:生田 将人)
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写真8■ 改修前の西側の出入り口部分。どこが小径か分かりにくかった(写真:防府市)
写真8■ 改修前の西側の出入り口部分。どこが小径か分かりにくかった(写真:防府市)
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写真8■ 改修前の西側の出入り口部分。どこが小径か分かりにくかった(写真:防府市)
写真8■ 改修前の西側の出入り口部分。どこが小径か分かりにくかった(写真:防府市)
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 サイン類はリニューアルした。種田山頭火顕彰会の会長が書いた山頭火のエピソードなどを反映している。市の積極的な呼びかけで、沿道の軒先の約10カ所に、山頭火の句をしたためた「句碑」の板を設置した。様々な仕掛けが、路地空間の随所に潜んでいる。