姫路市はJR姫路駅北側の広場や通りで、車中心から人中心の空間へと再生する改修事業を2011年から段階的に進めている。18年9月には、駅から世界遺産の姫路城へと続く「大手前通り」の南工区(延長約400m)の整備が完了。幅員約15~16mの歩道に、自由に休める空間の他、歩行者や自転車の通行帯を設け、エリアの違いを舗装デザインで表している。
JR姫路駅から真っすぐ姫路城へと続く広幅員の大手前通りは、戦災復興の一環として1955年に完成した。幅員約50m、延長約800mという道路の規格は、まるで飛行機の滑走路を思わせる広さだ。その後、姫路市は88年のシンボルロード整備事業で、それまで幅員約6mだった歩道を約15mに拡幅。歩道上に様々な彫刻を配置した他、既存のイチョウ並木に加え、新たにクスノキを植えた。
南工区の改修では、この歩道の使い方と舗装デザインを大きく見直している。姫路市建設局道路建設部街路建設課の内藤隆弘係長は、今回の改修整備を次のように語る。
「大手前通りの前回の改修から約30年が経過し、この間、全国の各都市に造られたシンボルロードに対するニーズが変わってきたように思う。単に駅と目的地とをつないで通過するための道路ではなく、とどまったり回遊したりしてもらう通りへの再生が求められている。大手前通りの改修事業も、そうしたコンセプトで進めてきた」(内藤係長)。