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寺内ダム洪水吐ひび割れ等変状調査業務(福岡県)
発注者:水資源機構朝倉総合事業所寺内ダム管理所
受注者:クモノスコーポレーション

 水資源機構が管理する寺内ダム(福岡県朝倉市)で洪水吐きの経年劣化の状況を調査し、維持管理用の基礎資料を作成する業務だ。洪水吐きのコンクリート表面をデジタルカメラで撮影。画像上でひび割れの発生状況や成長具合などを確認し、その情報をCADの図面に落とし込んで「調査図」を作成する(写真1図1)。

写真1■
調査対象となった寺内ダムの洪水吐き(写真:水資源機構)
調査対象となった寺内ダムの洪水吐き(写真:水資源機構)
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洪水吐きの表面に生じたひび割れを計測している様子。デジタルカメラに加えて、遠方からひび割れ幅を正確に計測できる専用の測定器も使用した(写真:クモノスコーポレーション)
洪水吐きの表面に生じたひび割れを計測している様子。デジタルカメラに加えて、遠方からひび割れ幅を正確に計測できる専用の測定器も使用した(写真:クモノスコーポレーション)
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図1■ 独自のひび割れ計測システムで精度向上
図1■ 独自のひび割れ計測システムで精度向上
クモノスコーポレーションへの取材を基に日経コンストラクションが作成
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 この業務を担当したクモノスコーポレーション(大阪府箕面市)は、通常の履行手順に独自の技術による精度確認を加えるなど、調査図の品質にこだわった。さらに、発注者に対し、画像解析を使った調査で見落としがちな留意点などを丁寧に説明。担当者の理解を十分に引き出したうえで業務を進めるように努めた。

 こうした取り組みの結果、同社は成績評定で81点を獲得。さらに、同機構から2019年度の理事長表彰(優良業務と優秀技術者)を受けるなど、高い評価を受けた。

 水資源機構寺内ダム管理所がこのような洪水吐きの劣化調査を始めたのは15年。クモノスコーポレーションが18年に手掛けた今回の調査は、2回目に当たる。

 調査手順は以下の通りだ。まずは、洪水吐きの表面を撮影した複数の写真を、水平、垂直、長さなどが設計図と合うように補正。次に、補正後の複数の画像を設計図と一致するように1枚に合成し、調査図の土台となるベース画像を作成する。

 その後、ベース画像をひび割れの自動判別ソフトにかけて、見つかった変状をCADの図面上に表示。変状1つひとつの長さや幅、位置といったデータを付加して図面にひも付ける。これが成果品の調査図となる。

 寺内ダム管理所では、今後もこの業務を定期的に行って調査図を経年比較し、洪水吐きのコンクリートの健全性をチェックしていく方針だ。データに誤りがあれば先々の調査にも影響を及ぼすだけに、調査図には厳密な精度が求められる。これに対して、クモノスコーポレーションは2つの対策を講じた。