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 兵庫県南あわじ市に本社を置く森長組は、バイパス新設に向けて2020年度に手掛けた市道の付け替え工事で評定点82点を獲得した。

 この工事は淡路島内の洲本バイパスを新設する事業の一環として実施。バイパスと直交する市道中川原線が付け替え後に通る箇所の周辺を対象に、道路土工事や法面工事を行った(資料1、2)。

資料1■ 完成時の現場の様子。洲本バイパスの整備事業の一環として、市道の付け替えに向けた道路土工事や法面工事を実施した。民家や電力会社保有の鉄塔が近接するなど、厳しい環境での施工となった(写真:森長組)
資料1■ 完成時の現場の様子。洲本バイパスの整備事業の一環として、市道の付け替えに向けた道路土工事や法面工事を実施した。民家や電力会社保有の鉄塔が近接するなど、厳しい環境での施工となった(写真:森長組)
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資料2■ 工事着手前の現場の写真に施工範囲などを示した。オレンジで着色した道路土工事の箇所では、掘削や法面整形を実施。赤の斜線で示した法面工事の範囲では掘削や法枠、吹き付けなどの工事を行った。取材を基に日経コンストラクションが作成(写真:森長組)
資料2■ 工事着手前の現場の写真に施工範囲などを示した。オレンジで着色した道路土工事の箇所では、掘削や法面整形を実施。赤の斜線で示した法面工事の範囲では掘削や法枠、吹き付けなどの工事を行った。取材を基に日経コンストラクションが作成(写真:森長組)
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 厳しい工期で円滑な施工が求められるなか、立ちはだかったのは急峻(きゅうしゅん)で硬い地質の地山。ブレーカーを使った掘削や整形を強いられる箇所があり、工事の進捗が鈍る恐れがあった。また、現場周辺は民家や学校、電力会社所有の鉄塔などがあり、振動・騒音対策や土砂崩落・落石対策にも多くの労力を割かなければならなかった。

 そこで森長組は、ICT(情報通信技術)を活用した作業効率化の他、法面工事における施工手順の工夫などを講じて工期短縮を実現。周囲への影響軽減についても、防音機能を持つ特殊な建機の投入をはじめ、土砂流出防護柵や落石防護ネットの設置といった対策を講じた。

 現場代理人と監理技術者を兼務した森長組関西支店土木課の安井陽平課長によると、ブレーカーによる岩掘削は、油圧ショベルなどで土砂や軟岩を掘削する場合と比べて、作業効率が7分の1程度に落ちることがある。掘削工事の効率低下を克服することは、工期厳守への至上命令だったと言える。

 掘削工事は、地山を約1万m3切り土して勾配のある法面を3段構成で築く設計になっていた。各段の鉛直方向の高さは7m。上段から順に、それぞれの段で(1)掘削(2)法面整形(3)削孔と鉄筋挿入(4)コンクリート吹き付け(5)法枠構築──のメニューを行う予定だった。

 しかし、この手順では各段で工種を変える手間がかかるうえ、専門工事会社も確保しにくい。そこで、安井課長は施工フローの変更を提案して発注者と協議。まずは3段でそれぞれ(1)~(3)の掘削から削孔・鉄筋挿入までを行い、その後、コンクリート吹き付けと法枠構築をまとめて行うフローに改めた。