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流動化剤か超遅延剤を標準化

 今後の暑中コンクリートを問題視しているのは、JCI近畿支部だけではない。大手建設会社なども、リスクを認識している。

 「コンクリート打ち込み時の重大トラブルのうち、その多くは暑中コンクリートで起こっていた」。鹿島の坂田昇土木技術部長はこう振り返る。同社が過去のトラブル例などを参考にまとめた「暑中コンクリート10カ条の心得」を見ると、主なトラブルの火種が分かる(図5)。

図5 ■ 鹿島の「暑中コンクリート10カ条の心得」
図5 ■ 鹿島の「暑中コンクリート10カ条の心得」
(資料:鹿島)
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 同社では打ち込み温度が上がって問題となる「スランプダウン」を回避するため、流動化剤か超遅延剤の利用を標準にしている。これらは、17年のコンクリート標準示方書・施工編やその改定資料に記述がある添加剤だ。

 「暑中コンクリートでリスクがありそうな現場では、必ず発注者に了承を得て使っている。流動化剤は事前に用意している」(坂田部長)。

 また13年からは「コンクリート目付け」の制度を立ち上げた。目付け役は、コンクリートに関して支店の土木トップ並みの権限を持つ。各支店でコンクリートの現場を回ってトラブルに発展しそうな打設を止めたり改善を促したりして、責任を持って品質を管理する。同社ではこの制度の導入以降、暑中コンクリートに関する重大なトラブルは起こらなくなった。

 もっとも暑中コンクリートの問題は、施工者や生コンの製造者だけで取り組もうとしても限界がある。

 摂南大学の熊野教授は、「発注者は工事を計画する段階で、打設がクリティカルパスになっていないならば夏季のシーズンは避けることから考えるべきだ。どうしてもずらせないならば、事前に検討する旨を工事契約図書に明示しておくことが望ましい」と主張する。