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目次
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3700tの桁が鉄道や川の上を水平移動
東海環状自動車道の建設現場で、陸上部の鋼床版箱桁では国内最長クラスとなる送り出し工事が進む。3700tの桁を曲線の線形に沿って動かすために、各支点に置いたジャッキの反力や桁のずれを調整。地道な作業の末、無事に津屋川や養老鉄道の上をまたぎ、終着点までたどり着いた。
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一般車両が通る真横でトンネル拡幅
一般車両を通しながらトンネルを掘削して拡幅する─。そんな難題に取り組む現場が千葉県君津市にある。車両の通行路を複数回変えるなど施工手順を工夫。作業スペースが限られる中、コンクリートの吹き付けと支保の建て込みの機能を兼ねた重機を導入し、手待ち時間を減らした。
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上向きに“トンネル”を掘る
大石西山排水トンネルたて坑工事(福島県)
日本最大級の地滑り地帯で、山腹に造った排水トンネルの内部から山頂に向けて避難坑を掘り進める。現場を熟知する地場の建設会社がECI方式で受注し、掘削範囲の見直しなど大胆な提案で施工の安全性を高めた。
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苦労した生コンの水上打設
熊野川河口大橋上部工事(三重県、和歌山県)
橋の上部工のコンクリートを台船上から打設する珍しい工法を採用している。トンネル工事などで使われるアジテーターカーを台船に載せて、生コンをかくはんしながら運搬したり、スランプを当初設計から上げたりして、コンクリートの品質確保に配慮した。
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廃ペットボトル10万本を表層に使う
GLP相模原物流施設建設工事(神奈川県)
日本最大級の物流施設の外構部に、廃ペットボトルを混ぜた高耐久性舗装が採用された。通常のアスファルト舗装と使用する機械は同じで、連続した施工が可能だ。早期に交通開放できるため、道路の切り回しなどを検討する必要がない。
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住宅近接地で静かな地盤大改良
淀川左岸線(2期)トンネル整備工事
大阪都心部の慢性的な交通混雑を解消すべく、新たな環状道路をつくる工事が淀川沿いの堤防で進む。現場では、大型重機による砂杭と高さ4~5mのプレロード盛り土で地盤改良に着手。近接する住宅地へ振動や騒音、粉じんなどの問題を起こさないように様々な工夫を凝らしていた。
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山奥で進む橋梁工事のDX
米子自動車道船谷川橋上部工事(鳥取県)
鳥取県内の山間部を走る米子自動車道の4車線化工事で、新技術の試行が進む。PC鋼材の自動緊張や桁の張り出し部の動態観測など、自動化・省力化につながる技術が目白押しだ。受発注者間だけでなく、元請けと下請けの間でも連携を図って、橋梁工事のDXに挑む。
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発破と巨大重機で山を切り開く
小田川付替え南山掘削他工事(岡山県)
2018年7月の西日本豪雨による緊急治水対策として、小田川が高梁川と合流する地点を4.6km下流側に付け替える工事が急ピッチで進む。工事の目玉は、新しい河道の線形を遮る「南山」の一部掘削だ。市街地付近での発破と巨大重機を用いた運搬は珍しい。
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覆工コンクリートの全工程を機械化
白河バイパス南湖トンネル工事(福島県)
山岳トンネルの覆工コンクリートの施工で、全作業を機械化した。コンクリートの打ち込みやセントルの設置など、いずれかの作業を機械化する従来のシステムと比べて人員を減らせる。さらなる省人化を目指し、棒状バイブレーターをかける作業が不要になる高流動コンクリートを一部に採用した。
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球磨川の急流下で仮橋を早期架設
鎌瀬橋仮橋工事(熊本県)
熊本県の球磨川では、2020年7月豪雨で流失した10橋の災害復旧工事が直轄権限代行で進む。中でも八代市にある鎌瀬橋の工事現場では、施工ヤードの不足や急流下での杭打ちといった課題を克服。現場の本格稼働から、わずか4カ月で仮橋が架かろうとしていた。
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つづら折りトンネルで難施工続く
高尾川地下河川築造工事(福岡県)
蛇行する河川に沿って、“地下河川”を施工する珍しい事業だ。曲率半径16mを含む急曲線施工が最大の難所とみていたものの、施工上最も苦労したのは想定外の地山の硬さによる掘進の停止だった。治水効果を早期に発揮させるため、1次覆工のみで暫定供用し、浸水リスクを下げた。
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水の供給止めずに築80年の池を更新
松ケ崎浄水場配水池改良工事(京都府)
近接する4つの配水池のうち2つの池を稼働させながら更新する工事に、約4年の長工期で挑む。稼働中の配水池から5mしか離れていない箇所もあり、慎重な対応が求められた。築80年の配水池で図面はほぼ残っておらず、配管を確認するための試掘にも気を使った。
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「8時間」の壁を破る床版取り換え
弓振川橋床版取り換え工事(長野県)
交通量の比較的少ない夜間に1車線を規制するだけで床版を更新できる工法を生み出した中日本高速道路会社と大林組。中央自動車道の弓振川橋での工事に初めて適用した。仮設床版を使って作業を2日に分け、規制時間である8時間の壁を突破した。
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難条件下で世界最長級の桁を架設
四国横断自動車道吉野川大橋工事(徳島県)
右岸と左岸で異なる架設工法を採用する珍しい現場だ。台船を使った架設では、船の揺れで作業が中断しないように工夫している。最大支間長が130mに及ぶプレキャストセグメント桁の施工では、線形管理に写真測量を導入。1mm以下の精度で出来形を予測して設計値との差を最小限に抑えた。
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切り羽で「全員集合」の岩判定を遠隔化
冠山峠道路第2号トンネル工事(岐阜県~福井県)
トンネルの切り羽で一堂に会していた「岩判定会議」に、大林組がウェブ会議システムを導入した。発注者のいる事務所から山間部のトンネルの現場へは、往復の移動時間だけで3時間程度を要する。汎用性のある技術を使って、臨場感を保ちながら遠隔地での岩判定評価を可能にした。
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レーザーで塗膜や塩分を焼き溶かす
藤橋塗装塗り替え工事(岩手県)
半世紀前に完成した橋の鋼桁の添接板にレーザーを照射し、古い塗膜やさび、付着した塩分を一瞬で溶融・蒸散させる。粉じんはほとんど発生しない。塗装塗り替え工事の品質を左右する下地処理に、全く新しい工法を公共工事で初めて本採用した。
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誰もいない切り羽で進む掘削
玉島笠岡道路六条院トンネル工事(岡山県)
危険を伴うトンネル切り羽周辺での作業時間が、新技術の導入によって大幅に減った。安藤ハザマは、ドリルジャンボによるせん孔作業の遠隔操作システムなどを六条院トンネル工事で導入。熟練作業員の経験と感覚に依存してきた現場からの脱却を目指す。
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「往復3時間」の無駄を省く遠隔臨場
松山自動車道法面補強工事(愛媛県)
毎日、複数回の立ち会い検査が必要なグラウンドアンカーの工事現場で、受注者の提案によって遠隔臨場をいち早く試行している。発注者の事務所から現場まで往復3時間の移動時間を削減でき、受注者の手待ち時間の解消にも大きく寄与している。
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3次元データを受発注者全員で回す
新東名高速道路川西工事(神奈川県)
2023年度の全線開通を目指す新東名で土量306万m3、高さ70mの大規模盛り土を含む工事が最盛期を迎えている。中日本高速道路会社は同社初の「ICTフル活用工事」として位置付けた。出来形管理が中心だった従来のICT土工の枠組みにとらわれず、受発注者間のやり取りを効率化する。
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坑内外を走る車両位置を一元管理
日下川新規放水路工事(高知県)
非GNSS環境下である狭いトンネル内で、車両位置を正確に検知するシステムを開発した。離合場所での無駄のないすれ違いを実現して、生産性と安全性の向上を目指す。坑外の車両検知システムとも自動連携させている。