近接する4つの配水池のうち2つの池を稼働させながら更新する工事に、約4年の長工期で挑む。稼働中の配水池から5mしか離れていない箇所もあり、慎重な対応が求められた。築80年の配水池で図面はほぼ残っておらず、配管を確認するための試掘にも気を使った。
4池のうち2池は常に稼働
五山の送り火の1つである「妙法」の字が浮かび上がる京都市松ケ崎で、配水池の改良工事が進む。4つの配水池のうち1号池と2号池を更新する(写真1、2)。
山林に囲まれ、敷地に余裕がありそうな現場だが、発注者の京都市上下水道局は配水池を解体後、同じ場所に耐震基準を満たす配水池を構築し直す方法を選んだ。同局水道部施設課の木ノ切芳仁担当課長補佐は「風致地区の山林のため、新たな用地の確保が難しかった」と説明する。
1号池と2号池の躯体を生かして耐震補強することも難しかった。既設の配水池は築80年。十分な耐久性を期待できなかったためだ。
水道水の供給量を確保するため、2つの配水池を常に稼働しながら更新する必要があった。1号池と2号池の運用を止めて更新する工事を進めればよかったが、それができなかった。4号池側の2号池の壁沿いに、3号池に通じる流入管や配水管があったためだ(写真3)。2号池を一度に解体すると、3号池が稼働できなくなる。
そこで、配管が近接する2号池の壁だけ残して解体を進め、先に1号池を完成。4号池とともに稼働させて3号池を停止し、残りの壁を解体後、2号池を新設した(図1)。
2号池の一部の壁は逆T形で自立する土留め壁として残した(写真4)。ただし、土圧に耐えきれない恐れがあったので、あらかじめ2mほど背面を掘削した。