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一般車両を通しながらトンネルを掘削して拡幅する──。そんな難題に取り組む現場が千葉県君津市にある。車両の通行路を複数回変えるなど施工手順を工夫。作業スペースが限られる中、コンクリートの吹き付けと支保の建て込みの機能を兼ねた重機を導入し、手待ち時間を減らした。

 千葉県君津市の内陸部を東西に貫く国道465号を走っていると、トンネルの中に一回り小さい門型断面のトンネルが出現する(資料1)。千葉県君津土木事務所上総出張所が発注し、飛島建設と伊藤土建(君津市)による特定建設工事共同企業体(JV)が施工する蔵玉(くらだま)トンネルの拡幅工事の現場だ。

資料1■ 交互通行で一般交通を確保
資料1■ 交互通行で一般交通を確保
蔵玉トンネルでは北側坑口からトンネル拡幅部上部の掘削を進める。プロテクターで覆われた写真右側の道路を一般車両が通行する。2022年1月18日に撮影(写真:大村 拓也)
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 一般車両は、青いLED照明が取り付けられている幅3.5m、高さ4mの門型断面のトンネル内を交互で通行する。実はこのトンネルは、その真横で進む蔵玉トンネルの拡幅工事から安全を確保するプロテクターとしての役目も担う(資料2)。

資料2■ プロテクターを避けて施工する
資料2■ プロテクターを避けて施工する
拡幅した坑内の様子。写真右にプロテクターが見える。作業スペースは狭く、ドリルジャンボがアームを伸ばして施工している(写真:大村 拓也)
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 トンネルの拡幅工事は、通行止めで実施するのが一般的。だが蔵玉トンネルの周囲には迂回路がないため、県は一般交通を確保しながら断面を拡幅する「活線拡幅」の採用を決めた。

 拡幅の手順は以下の通り(資料3)。まずは、幅約6m、高さ約5mの既設トンネルにプロテクターを設置して、側面にモルタルを充填。プロテクターの外周を掘削しながら支保を建て込む。

資料3■ 最大で2車線分のプロテクターを設置して一般交通を確保する
資料3■ 最大で2車線分のプロテクターを設置して一般交通を確保する
トンネル拡幅の主な施工プロセス。千葉県君津土木事務所の資料と取材を基に日経コンストラクションが作成
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 続いて、拡幅した空間に新しいプロテクターを設置して一般車両の通行路を変更してから、先に設置したプロテクターを撤去。プロテクターで覆っていた箇所を掘削して支保を施工する。

 その後、プロテクターを中央に移動し、再度通行路を変更。防水シートや覆工コンクリートを施工しながらプロテクターを搬出する。最後に舗装や排水溝を1車線ずつ施工して完成だ。