20代の若手を中心に新東名高速道路を6車線にするための舗装工事が進む(写真1)。女性や外国籍の技術者、時短労働者など多様な職員が働きやすい環境をつくり、若手の成長と効率的な施工を両立する現場に密着した。
分業と新技術でベテラン不足を克服
交通誘導員を集めた朝礼を取り仕切った後、50人以上の職人たちの前に立って1日の作業予定を伝える(写真2)。作業が始まれば現場を見回り、各作業箇所の情報を整理して工事の進捗を管理する──。
NIPPOが施工する舗装工事で、工事主任を務める寄川あまね氏の1日だ。建設業界には女性が増えつつある。とはいえ、27歳の女性職員がてきぱきと現場をまとめる姿はまだ珍しい。「当社の他の現場では、自分くらいの年齢では最年少となる場合が珍しくない」と寄川氏は話す。
中日本高速道路会社が進める新東名高速道路の御殿場ジャンクション(JCT)─浜松いなさJCT間の6車線化工事だ。NIPPOが担うのは、このうち長泉沼津インターチェンジ(IC)─駿河湾沼津サービスエリア(SA)間と、新富士IC─新清水IC間の2工区の舗装工事。4車線を供用しながら狭い空間で大型の重機を効率的に稼働させ、延長約22kmにわたって舗装を構築する。
最大で合計約200人が働く現場を束ねる工事事務所のメンバー24人のうち、20代の若手は寄川氏をはじめ12人と半数を占める。女性の数も10人に及び、そのうち3人はミャンマーや韓国籍の技術者だ(図1)。
NIPPOの新東名6車線化工事事務所の三輪素理所長は「若手中心の配置で活気が生まれた。若手同士で話しやすい環境なので、自発的な打ち合わせにもつながっている」と目を細める。