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2018年7月の西日本豪雨による緊急治水対策として、小田川が高梁川と合流する地点を4.6km下流側に付け替える工事が急ピッチで進む。工事の目玉は、新しい河道の線形を遮る「南山」の一部掘削だ。市街地付近での発破と巨大重機を用いた運搬は珍しい。

削岩機械による掘削から発破へ変更

 岡山県倉敷市の真備地区の市街地から数百メートルしか離れていない場所で、山を切り開き、河道を付け替える工事が進む。

 現場には仮囲いがない。付近を通る県道からは、土砂を積み込む6m3級のバックホーと運搬を担う40tの重ダンプトラックが丸見えだ(写真1)。積み込みのたびにトラックの荷台に当たる土砂の衝撃音の大きさから、バケットの巨大さがうかがえる。

写真1■ バケット容量が6m<sup>3</sup>級のバックホーと40tの重ダンプトラック。重ダンプの積載量は20m<sup>3</sup>で、10tのダンプトラックの3倍以上だ(写真:生田 将人)
写真1■ バケット容量が6m3級のバックホーと40tの重ダンプトラック。重ダンプの積載量は20m3で、10tのダンプトラックの3倍以上だ(写真:生田 将人)
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 この現場で掘削する土砂の量は90万m3だ。当初、設計書に指定されていたのは、削岩機械による掘削だった。ところが想定外の硬さを持つ岩の出現で掘削の効率が悪化。そこで、着工後に近隣の住民の引っ越しが完了したことなどを受けて、発破掘削に契約を変更した。

 そして、営巣する猛きん類の保全対策のために2021年1月から試験発破を開始。徐々に発破の回数を増やして、同年4月以降、本格的に進めている(写真2)。

写真2■ 河道になる箇所を掘削するために発破している様子。写真中央の砂煙が上がっている部分が発破箇所。現場を横切る県道は発破の前に一時的に通行止めにする(写真:生田 将人)
写真2■ 河道になる箇所を掘削するために発破している様子。写真中央の砂煙が上がっている部分が発破箇所。現場を横切る県道は発破の前に一時的に通行止めにする(写真:生田 将人)
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 「山奥の現場ではなく、市街地に近く、県道沿いでの発破は珍しい。一般の人に『安全に気を配ってしっかりと作業を進めている』ことが分かる工事をしようと呼びかけている」。鹿島・大本組・荒木組特定建設工事共同企業体の小田川付替えJV工事事務所の今井由所長は、こう話す。