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大阪都心部の慢性的な交通混雑を解消すべく、新たな環状道路をつくる工事が淀川沿いの堤防で進む。現場では、大型重機による砂杭と高さ4~5mのプレロード盛り土で地盤改良に着手。近接する住宅地へ振動や騒音、粉じんなどの問題を起こさないように様々な工夫を凝らしていた。

杭打ち作業で騒音・振動・粉じんに配慮

 大阪市を流れる淀川の左岸沿いで、河川堤防内に高速道路トンネルを初めて建設する工事が進む。淀川左岸線(2期)の施工現場だ。

 河川堤防は盛り土だけで造るのが原則だ。道路構造物を堤防内に造るのであれば、構造物と土との間に水みちが発生しないよう対策を講じなければならない。

 道路構造物と堤防との不同沈下や地震時の液状化を防ぐために重要な対策が、道路構造物の施工範囲の地盤改良だ。この現場では砂杭(サンドドレーン)を採用している(写真1)。粘性土層に含まれる水分を砂杭から排出し、軟弱地盤である砂質土層を締め固める。

写真1■ 砂杭の材料である海砂を杭打ち機の移動バケットに入れているところ。この後バケットが上昇し、ケーシングパイプの上部にあるホッパーへ海砂を投入する(写真:生田 将人)
写真1■ 砂杭の材料である海砂を杭打ち機の移動バケットに入れているところ。この後バケットが上昇し、ケーシングパイプの上部にあるホッパーへ海砂を投入する(写真:生田 将人)
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 さらに、プレロード盛り土で道路構造物と同等以上の荷重を加えて、粘性土層の排水を促し、あらかじめ沈下させる(写真2図1)。

写真2■ 工事現場の全景。写真奥では砂杭を施工している。写真手前では砂杭を打った上にプレロード盛り土を設置し、沈下を促進している(写真:鴻池組)
写真2■ 工事現場の全景。写真奥では砂杭を施工している。写真手前では砂杭を打った上にプレロード盛り土を設置し、沈下を促進している(写真:鴻池組)
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図1■ 将来設置する構造物と同じ荷重で沈下を促進
図1■ 将来設置する構造物と同じ荷重で沈下を促進
工事のイメージ。地盤改良後に道路構造物を施工する。取材を基に日経コンストラクションが作成
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 「住宅が近接する現場のため、振動などによる周辺環境への影響に気を使っている」。鴻池組・あおみ建設・久本組特定建設工事共同企業体(JV)の岸本健三郎副所長はこう話す。砂杭の施工方法には、入札時に技術提案した静的締め固め工法を採用している。

 油圧で杭打ち機の強制昇降装置を動かし、回転させながら地面にケーシングパイプを圧入する。この際、重機の自重約120tで反力を取る。そのため、振動は40~60dBに抑えられる。

 現場では杭打ち機から数メートル離れた位置でも、振動を感じなかった。現場へ土砂を搬送するダンプトラックの振動の方が大きいと感じるほどだ。

 その後の砂杭を構築する過程では、騒音対策にも力を入れている。ケーシングパイプ内に投入した砂を圧縮空気で充填した後にパイプを所定の深さまで貫入し、排気してパイプだけ引き抜く。通常であれば、この際の圧縮空気の排気音が最大で120dBに達する。

 そこで、排気ホースをつないで消音装置を取り付け、最大で70dBに抑えた。騒音規制法の基準値85dBを下回る「騒々しい事務所内」程度の騒音だ。

 さらに、周辺への粉じんの飛散を防止することにも気を配っている。入札時の技術提案に盛り込んだ対策だ。地盤改良工事中は特に、砂杭や盛り土の土砂の飛散が懸念された。そのため、現場の仮囲いの上に、粉じんを防ぐ2mのシートを加えた。騒音対策用に通常よりも高めの3mの仮囲いを使っているため、計5mの高さとなる。

 その他、杭打ち機に砂を投入するホッパーの周りには、飛散防止シートを3面に取り付けた(写真3)。一般的には1面しか覆わない。

写真3■ 杭打ち機の上部。海砂の投入口であるホッパーの周囲を青いシートで覆って、砂の飛散を防ぐ(写真:生田 将人)
写真3■ 杭打ち機の上部。海砂の投入口であるホッパーの周囲を青いシートで覆って、砂の飛散を防ぐ(写真:生田 将人)
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