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毎日、複数回の立ち会い検査が必要なグラウンドアンカーの工事現場で、受注者の提案によって遠隔臨場をいち早く試行している。発注者の事務所から現場まで往復3時間の移動時間を削減でき、受注者の手待ち時間の解消にも大きく寄与している。

受発注者の合計で月140時間を効率化

 「もしもし。おはようございます」。愛媛県東温市の松山自動車道の法面補強工事現場で、施工者である奥村組土木興業の技術者がハンズフリーの携帯電話で話し出した。右手には小型カメラをグラウンドアンカーのケーシングに向けている(写真1)。

写真1■ 松山自動車道の河之内地区の法面工事の現場。グラウンドアンカーの削孔完了後、施工者がカメラを持って、ケーシングに入れた検尺棒の残尺を撮影している(写真:日経コンストラクション)
写真1■ 松山自動車道の河之内地区の法面工事の現場。グラウンドアンカーの削孔完了後、施工者がカメラを持って、ケーシングに入れた検尺棒の残尺を撮影している(写真:日経コンストラクション)
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 電話の相手は発注者の西日本高速道路会社愛媛高速道路事務所の施工管理員だ。カメラの映像を通してケーシングに入れた棒の残尺を確認。削孔長の出来形を遠隔地から検査する(写真2)。

写真2■ カメラにズーム機能はない。ただし手で持ち運べる小型カメラなので、近づければ目盛りを十分に読み取れる(写真:奥村組土木興業)
写真2■ カメラにズーム機能はない。ただし手で持ち運べる小型カメラなので、近づければ目盛りを十分に読み取れる(写真:奥村組土木興業)
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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、対面検査を減らす目的から急速に注目を集めている「遠隔臨場」。この現場では感染症とは関係なく、奥村組土木興業の提案で2019年12月から試行し始めている。

 同社が受注した松山自動車道の法面補強工事の現場は、入野地区と河之内地区の2カ所に分かれる。約30km離れた2つの現場間を移動するのに、片道1時間はかかる(図1)。

図1■ 2つの現場間の移動は車で片道1時間
図1■ 2つの現場間の移動は車で片道1時間
位置図。日経コンストラクションが作成
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 「相談があっても、簡単に行ける距離ではない。急なトラブルなどでは、写真や動画を送ってもらってやり取りするしかなかった」。現場代理人を務める奥村組土木興業工事課の粟根健一所長は、こう振り返る。

 発注者の施工管理員の移動はさらなる負担を伴っていた。愛媛高速道路事務所から入野地区までは、車で片道1.5時間を要する。

 西日本高速道路はグラウンドアンカーの全孔で、出来形・品質管理のほぼ全項目に立ち会い検査を課している。削孔長やグラウト注入などの確認で毎日複数回の立ち会いが必要だ。事務所から現場までの移動に時間がかかるため、結果として丸一日、現場に拘束されていた。