全2780文字
PR

右岸と左岸で異なる架設工法を採用する珍しい現場だ。台船を使った架設では、船の揺れで作業が中断しないように工夫している。最大支間長が130mに及ぶプレキャストセグメント桁の施工では、線形管理に写真測量を導入。1mm以下の精度で出来形を予測して設計値との差を最小限に抑えた。

最大支間130mで高精度な線形管理

 徳島県を東西に流れる吉野川の河口で、過酷な条件を克服しながら、施工している現場がある。四国横断自動車道の一部となる吉野川大橋だ(写真12)。

写真1■ 手前に見えるのは左岸側のP1橋脚。台船でセグメント桁を運んで、吊り上げて架設する。2020年7月20日撮影(写真:生田 将人)
写真1■ 手前に見えるのは左岸側のP1橋脚。台船でセグメント桁を運んで、吊り上げて架設する。2020年7月20日撮影(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]
写真2■ 右岸側では架設桁による架設が進む。20年11月18日に撮影(写真:西日本高速道路会社)
写真2■ 右岸側では架設桁による架設が進む。20年11月18日に撮影(写真:西日本高速道路会社)
[画像のクリックで拡大表示]

 橋長は約1700m。PC(プレストレスト・コンクリート)15径間連続の箱桁橋だ。最大支間長は130mと世界最大級の長さを誇る。

 当初設計では現場打ちによる架設だった。詳細設計付きの工事を受注した鹿島・三井住友建設・東洋建設共同企業体(JV)は、発注者の西日本高速道路会社と協議の上、プレキャストセグメントへの変更を提案した。生コン流出の恐れがなくなり、環境負荷の軽減などが見込めるからだ。

 西日本高速道路徳島工事事務所の浦啓之所長は「河口部には干潟があり、多様な底生生物がいる。渡り鳥の通過点にもなる。建設と環境の両立を念頭に置いて工事を進める必要があった」と明かす。

 線形が直線に近い右岸側は、架設桁架設工法を選定。一方、曲率が大きい左岸側は架設桁による架設が難しいため、海上からセグメントを吊り上げて架設する「エレクションノーズ工法」を採用した(図1)。両岸で異なる架設工法の採用は珍しい。

図1■ 左岸側と右岸側は別々の工法で架設
図1■ 左岸側と右岸側は別々の工法で架設
吉野川大橋の平面図(資料:鹿島・三井住友建設・東洋建設JV)
[画像のクリックで拡大表示]

 「運搬台船を使ったエレクションノーズ工法は、陸上からセグメントを運ぶ架設桁工法と比べて制約が大きい」。現場代理人を務める吉野川大橋JV工事事務所の桝本恵太所長は、こう話す。