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 9月4日、主に関西で猛威を振るった台風21号。高潮・高波で想定外の浸水被害が生じた人工島は、実は関西国際空港以外にもあった。大阪湾に浮かぶ兵庫県芦屋市南端の南芦屋浜だ(写真1)。

写真1■ 台風21号に伴う高潮、高波で浸水した芦屋市の南芦屋浜。9月4日午後2時過ぎに撮影(写真:芦屋市)
写真1■ 台風21号に伴う高潮、高波で浸水した芦屋市の南芦屋浜。9月4日午後2時過ぎに撮影(写真:芦屋市)
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 南芦屋浜は県が1997年1月に完成させた人工島で、通称は「潮芦屋」。県が2007年度に公表した高潮浸水予測区域図(ハザードマップ)では、浸水リスクが全くない場所だった(図1)。

図1 ■ 浸水被害の予測と実際の浸水状況
図1 ■ 浸水被害の予測と実際の浸水状況
被災前の浸水被害の予測で空白地帯だった南芦屋浜が市内最大の被災地になった。兵庫県の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 島内は構造上、浸水リスクが高くなりがちな戸建て中心の低層住宅街が広がる。県の築いた護岸による防災に大きな信頼を置いて市が開発を手掛けてきたことを物語る。戸建ての敷地は200m2以上に限定して無電柱化するなど、全国屈指の高級住宅地として知られる芦屋市にふさわしい街づくりを進めてきた(写真2)。

写真2■ 南芦屋浜の東護岸。付近の会員制リゾートホテルはこのエリアの高級イメージ形成に一役買っている(写真:日経コンストラクション)
写真2■ 南芦屋浜の東護岸。付近の会員制リゾートホテルはこのエリアの高級イメージ形成に一役買っている(写真:日経コンストラクション)
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 そのような街づくりに冷や水を浴びせるような浸水被害だった。南側の護岸の一部で越波が生じて、125haの人工島のうち南寄りの34haが浸水した。浸水深は最大で約70cmに及び、床下浸水が230棟、床上浸水は17棟に達した(浸水の規模はいずれも市の推計)。

 下水道施設が機能して島内の水が引くのは早く、長期間“孤島”と化すことはなかった。市防災安全課の石濱晃生課長は、「浸水したこと自体に驚きがあった」と振り返る。

 台風21号に伴う高潮で、兵庫県内では他にも尼崎市や西宮市の臨海部の一部が浸水被害に見舞われている。高潮浸水ハザードマップで浸水リスクがあると想定していた場所だ。高潮ハザードマップで空白だったにもかかわらず広い範囲で浸水したのは南芦屋浜だけだった。