事件・不祥事
社会を揺るがしたリニア談合
2017年末に発覚したリニア中央新幹線の建設工事を巡る談合疑惑が、社会を揺るがした(図5)。12月に、東京地検特捜部が偽計業務妨害の疑いで大林組を強制捜査。その後、公正取引委員会も加わり、独占禁止法違反の疑いで大手4社を調査した。
そして18年3月23日、東京地検特捜部は公正取引委員会の刑事告発を受け、大成建設と鹿島、大林組、清水建設の法人としての4社と、既に逮捕している大成建設と鹿島の各担当者2人を独占禁止法違反の疑いで起訴。大成建設と鹿島の担当者が談合を否定する一方、大林組と清水建設の担当者は談合を認めて公取委に課徴金減免制度の適用を申請したとされる。10月には、東京地裁が大林組に2億円、清水建設に1億8000万円の罰金を科す判決を言い渡した。
一連の騒動を受けて3月以降、国交省や他の自治体が指名停止措置を実施。11月9日には、JR東海が大林組と清水建設を5カ月の指名停止とした。
リニア談合は、コンプライアンス(法令順守)軽視が生んだ事件と言える。これ以外にも、大阪府内での上下水道工事の材料偽装、建設機械を巡る不正取引など、倫理にもとる行為による事件が相次いだ。こうした事態に警鐘を鳴らすために、7月9日号で特集「なめてませんか? コンプライアンス」をまとめた(図6)。