新技術
自動化やAI活用で生産性向上
18年度をi-Constructionの「深化の年」と位置付ける国交省は、基準の新設や改定を進めている。一例が、土工と舗装工が対象の「地上移動体搭載型レーザースキャナーを用いた出来形管理要領(案)」。3月に新設した。手押し型のレーザースキャナーを使い、移動しながらミリ単位の精度の3次元測量ができる技術が登場してきたことなどに対応した。
民間主導のICT(情報通信技術)活用策も進化を見せる。究極の姿が建設現場の自動化だ(図7)。
鹿島は、振動ローラー、ブルドーザー、重ダンプを自動化して土工事を行う次世代建設生産システムA4CSEL(クワッドアクセル)を開発し、11月に福岡県の小石原川ダムに導入(関連記事:「3種の自動建機で連続盛り立て」に)。熊谷組は、無人化施工をベースにした建機の自動化システムで、熊本地震で被災した阿蘇大橋地区で実験を重ねている。
点検・診断に使う非破壊検査でも技術革新が起こっている(図8)。外部から赤外線を照射してコンクリート表面の塩分量を把握する手法、中性子を使ってコンクリート中の水分や空洞を検出する技術など、“新顔”が続々登場した。
要素技術で目立つのがAI(人工知能)活用の本格化だ。大林組は富士フイルムのAIによる画像解析技術を利用して、高性能カメラで撮影した画像から、コンクリート表面の幅0.05mm以上のひび割れを自動検出する手法を開発。富士通は同社の公共工事用積算支援ソフトに、AIで積算ミスを自動検知する機能を追加した。同社によると、積算支援ソフトへのAIの搭載は業界初だ。
VR(仮想現実)とAR(拡張現実)を融合したMR(複合現実)の活用も始まっている。鴻池組とインフォマティクスが開発したトンネル維持管理システム「トンネルMR」は、米マイクロソフトのメガネ型端末「ホロレンズ」を装着してトンネル内を歩きながら周囲を見渡すと、ひび割れの進展や設計時・施工時の状況が手に取るように把握できる。