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全国でインフラの老朽化が進み、国や自治体などの管理者は定期点検に追われている。点検結果を受けて修繕も進めなくてはならないが、予算の制約もあり、なかなか手を付けられないのが実情だ。民間企業や大学で続々と開発が進むAI(人工知能)やロボットなどの新技術を使った維持管理手法に期待が集まる。

11. 定期点検が一巡
2巡目に向けた修繕が課題

 道路橋やトンネルなどに義務付けられた5年に1回の定期点検が一巡し、2019年度から2巡目に入る。今後は点検に加えて、1巡目の点検結果を受けた修繕も進める。自治体は予算や人員を確保できず、なかなか修繕に着手できないのが実情だ。

 国土交通省が実施したアンケート調査によると、全国の約8割の自治体が、点検費用が負担になっていると答えた(図1)。14年に定められた道路構造物の点検要領では、点検員が全ての構造物を近接目視で確認することが原則だ。管理者は点検結果を基に、補修の必要性を4段階で判定する。橋やトンネルに続いて、舗装や土工構造物、下水道管などでも5年に1回の点検が義務付けられた。

図1 ■ 定期点検の費用を負担に感じる自治体の割合
図1 ■ 定期点検の費用を負担に感じる自治体の割合
2018年7月から9月にかけて、国土交通省が全国1784の自治体に対して実施したアンケート調査の結果。77%の自治体が、定期点検に要する予算の確保や費用を負担に感じると回答した。国交省の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 14~17年度の4年間で8割の橋で点検が完了し、早期に補修が必要なIII、または通行止めなど緊急に対応が必要なIVと判定された橋は全国で約6万橋に上る(図2)。次の点検までに補修しなければならないが、都道府県や市町村が管理する橋では17年度末時点で1割しか着手していなかった。

図2 ■ 2014~17年度に点検した構造物の判定区分
図2 ■ 2014~17年度に点検した構造物の判定区分
全国の59万862橋と7932本のトンネル、3万1848カ所の道路付属物などを定期点検した結果。橋の1割に当たる約6万橋で、補修が必要な区分IIIまたIVと判定した。国土交通省の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 加えて、国交省は健全度の高い橋でも、機能に支障が出る前に先手を打って補修する「予防保全」を進めるよう求めている。更新を先送りできるので、長期的な維持管理コストの削減につながるためだ。

 とは言っても、現状はIIIとIVの補修で精一杯で、IIに対処する余裕はほとんどない。点検済みの橋の約半数がIIと判定されているが、そのうち自治体が予防保全として補修に着手した橋は1~2%にとどまる。

 国交省は、補修費用を確保できない自治体を支援するため、19年度から補助制度を拡充する。道路施設の大規模修繕・更新に対する補助の適用要件を、事業費3億円以上から1億円以上へと緩和する。