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 掘削しながらコンクリート製の躯体を沈下させるニューマチックケーソン工法で要となるのが、躯体の下部に設けた高さ2.5mほどの作業室だ。掘削機が稼働する空間となる。

 掘削のためには地下水を排除して、作業室内を圧縮空気で満たし続ける必要がある。高圧になるので潜函病になりやすく、生身の人間が動ける時間はわずかしかないのが難点だった。そのため、遠隔操縦の技術開発がいち早く進んだ。

 オリエンタル白石や千葉⼯業⼤学、システム計画研究所(東京都渋⾕区)は共同で、そこからさらに進んだ「自動化」の技術開発に取り組んでいる。

 掘削機は、作業室の天井に敷いたレールに沿って移動し、地盤の掘削、土砂運搬、搬出かごへの積み込み、構造物の沈下の4つの工程を繰り返す。そのうち、土砂運搬の自動化を実現した。6台の掘削機を同時に動かして、互いに衝突しないことを確かめた(写真1)。

写真1■ 実証現場となった呑龍(どんりゅう)ポンプ場の工事中における作業室の様子。遠隔操縦の掘削機を12台用いた。そのうち自動化したのは6台。実験中は、残りの6台の作業を止めた(写真:オリエンタル白石)
写真1■ 実証現場となった呑龍(どんりゅう)ポンプ場の工事中における作業室の様子。遠隔操縦の掘削機を12台用いた。そのうち自動化したのは6台。実験中は、残りの6台の作業を止めた(写真:オリエンタル白石)
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 一般的な遠隔操縦の掘削機に各種センサーを取り付け、リアルタイムに挙動を把握する。ただ、地下にはGNSS(衛星を用いた測位システムの総称)の電波が届かないので、位置情報を取得できない。そこで走行距離計と旋回角度の計測機を搭載。移動距離や角度から自機の位置を特定する。ブームやバケットの動きも計測してパソコン上で3次元化する。

 掘削機の周囲の状況把握には、レーザー光の照射で地形や構造物を3次元の点群として取得する「LiDAR(ライダー)」を用いた。掘削機のブーム前方に取り付け、計測した地盤形状を定期的に地上のパソコンに伝送する(図1)。

図1■ LiDARで周囲の状況把握
図1■ LiDARで周囲の状況把握
計測した各種データを基にパソコン上で構築した掘削地盤と掘削機の3次元モデル(資料:オリエンタル白石)
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