工程管理の旗(目標)を立てる際に、注意しなければならないのが工期と原価の関係だ。工期を短縮すると原価が上がることもあるからだ。最も低い原価で施工できる工期を求め、工期短縮と原価低減の両立を図ることが重要だ。(日経コンストラクション)

前回は、工期短縮の鍵となる工程管理5つのポイントの1つ目、「旗を立てよ」について説明した。工程管理では、目標というゴールを設定することが旗を立てることに当たる(図1)。
- (1) ゴールの設定=引き渡し日か、余裕をみたゴールを設定する
- (2) 要求事項を確認する=条件漏れがないように確認する
- (3) 作業の項目や手順の洗い出し=工事の進行に必要な作業を抽出する
- (4) 所要日数の算出=工程歩掛かりを基に、各工種の所要日数を算出する
- (5) 工程間のつながりの確認=各工種の施工順序を確認する
- (6) 工期と人工の調整=必要な工期と配置できる作業員数を調整する
- (7) 労務の山崩し=作業員数をできるだけ平準化する
- (8) 実質工程と暦日工程を知る=実質日数に休日や休工日を考慮する
- (9) 工程表にまとめる=(5)~(8)を工程表に記載する
- (10) 全体工程に合わせる=(5)~(8)を調整してゴールに合うように調整する
ゴールは、発注者や近隣住民、社内関係者など、工事に関わる立場によって異なる。発注者であれば、大半が引き渡し日だ。社内関係者なら次の工事の着工前が多いだろう。そうした様々な関係者の要求を調整し、工程管理のゴールを設定する。
その際に注意しなければならないのが、工期と原価の関係だ。いくら工期を短縮しても、コストが大幅に増えれば、発注者は満足しない。自社の経営者も同じだ。追加支出を抑えながら工期短縮を図ることが、工程管理のゴールの設定では重要だ。