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 2020年に、東レの子会社の水道機工や西武建設、パナソニック環境エンジニアリングなどで、社員が自身の実務経験を偽って、1級土木など施工管理技士の資格を不正に取得していた事実が次々と発覚した。

 国土交通省の指示で各社がまとめた第三者委員会の調査報告書によると、いずれも企業側が社員に不正な資格取得を指示・推奨していた。中でも目を引くのは水道機工だ。子会社の社長を務めた同社の元役員が自ら不正な受験指導をしていた。元役員は、1級土木の実地試験の経験記述対策として模範解答例を作り、社員に丸写しを指示していた。

 こうした組織ぐるみの不正は、許されるものではない。ただ、各社の不正の動機などを見ると、一部の悪質な建設会社による例外的な行為と切って捨てるわけにはいかない。

 パナソニック環境エンジニアリングでは、受注件数の増加に伴い、工事現場の配置に必要な資格者の不足が常態化。その不足を補うために、不正に手を染めた。西武建設では、過去の経営悪化時のリストラで、多くの資格者が退職。その穴を埋めるために、実務経験のない事務系職員にまで不正な資格取得を促した。

不正が広範に行われていた可能性

 建設業界では同様に、多くの企業が資格者不足に頭を悩ませている。そうした企業が自社の資格者を増やすために、不正の誘惑に駆られたとしても不思議ではない。

 不正をした西武建設の社員も、試験会場で会った他社の受験者から「どの企業も同じようなことをしている」と聞かされたと言う。水道機工の社員も「試験会場には、明らかに実務経験を満たしていないと思われる若い女性や主婦、色白の男性がいた」と証言している。

 西武建設の不正を調査した第三者委員会は、報告書で次のように指摘している。「実務経験の証明が各企業の規律に委ねられ、指定試験機関や第三者のチェックを受ける仕組みになっておらず、企業の判断次第では本件不正と同様のことを容易になし得る状況であったことにかんがみると、本件不正が建設業界内で広範に行われていた可能性は相当程度あったといわざるを得ない」

 国交省や指定試験機関がこうした状況を放置してきたことが、企業の不正を誘発・助長したともいえる。

水道機工とその子会社の水機テクノスの本社があるビル。両社では、社員が1級土木施工管理技士などの国家資格を不正に取得していた(写真:日経コンストラクション)
水道機工とその子会社の水機テクノスの本社があるビル。両社では、社員が1級土木施工管理技士などの国家資格を不正に取得していた(写真:日経コンストラクション)
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