全889文字
PR
4/1朝まで
どなたでも有料記事が読み放題「無料開放デー」開催中!
国土交通省は2018年、「建設業働き方改革加速化プログラム」を打ち出した。長時間労働の是正や生産性向上の実現に向けて、多様な施策を盛り込んだ(資料:国土交通省)
国土交通省は2018年、「建設業働き方改革加速化プログラム」を打ち出した。長時間労働の是正や生産性向上の実現に向けて、多様な施策を盛り込んだ(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]

 「働き方改革」という言葉が社会に浸透して久しい。だが、十分に効果が出ているかというと、決してそうではないケースが多いと感じる。

 「ペーパーレス化するようにと上司は言うものの、データを保存できる職場のストレージ容量がほとんど無い」。ある自治体で土木職として働く友人の愚痴だ。データを保存する環境が整っておらず、紙の資料を使い続けるしかないという。

 この友人の職場では、共用スペースの好きな席で仕事ができるフリーアドレス制の導入が始まっているそうだ。自治体にしては先進的な職場かと思ったが、友人は「個人ごとの机の代わりに与えられたロッカーが小さ過ぎて、紙の資料さえも保管できない」と嘆いていた。

 本来ならば、大容量のデータを保存できる環境を実現してから、ペーパーレス化やフリーアドレス制を導入すべきだろう。聞こえのよい施策だけを取り入れて、実務に支障を来すようでは本末転倒だ。

建設業も24年から罰則規制

 もう1つ、別の例を紹介しよう。「ノー残業デーの水曜日は必ず定時で帰るし、休日もカレンダー通りに休む」と話すのは、高速道路会社に勤める別の友人だ。

 ただし、それでは与えられた仕事を期限までにこなせないので、残りの週4日は終電近くまで働くそうだ。実際の残業時間をそのまま申告すると上限値を超えてしまうため、「出勤簿上は1日3時間くらい昼寝していることになっている」と冗談めかして笑っていた。

 私の友人の事例はあくまで氷山の一角で、他にも働き方改革によってかえって働きづらくなっている職場はごまんとある。

 働き方改革関連法が2019年4月に施行し、建設業などを除く業種で時間外労働の罰則付き上限規制が導入された。建設業は5年間の猶予をもって、24年に適用される。

 もともと古い働き方がはびこってきた業界だけに、改革は難しい。ただ、規制に間に合わせるためだけの付け焼き刃な改革では、現場に負担を強いるだけだ。

 単に仕組みや制度を導入しても、本当の働き方改革にはならない。どこに仕事の無駄があるのか、何が仕事の負荷になっているのかを精査して、課題を1つずつ解決していくことが近道になる。