日経コンストラクション「記者の眼」
目次
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資格取得不正の背景に国の不作為
2020年に、東レの子会社の水道機工や西武建設、パナソニック環境エンジニアリングなどで、社員が自身の実務経験を偽って、1級土木など施工管理技士の資格を不正に取得していた事実が次々と発覚した。
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指名停止は“武家の裁き”にすぎない
日経コンストラクション2021年4月12日号の特集「現場の失敗 検査で見抜けず」で、群馬県渋川市の北橘(ほっきつ)運動場で起こった擁壁の倒壊を巡る前橋地裁の判決を報じた。記事の見出しは「市の不備が露呈し衝撃の“逆転”判決」だ。
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なぜ浸水深5mの被災地で再建するのか
2018年の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)で、壊滅的な被害を受けた岡山県倉敷市の真備地区を訪れた。井原鉄道の車窓から外を眺めていると、小田川沿いの築浅の奇麗な住宅群が目に飛び込んできた。
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コロナ後も自動車はまちづくりの邪魔者か
都心のある中規模マンション管理組合の理事会で今春、うれしい悲鳴が上がった。それまでは附置義務駐車場の4割程度が空いており会計の収支を圧迫していたが、急に申し込みが相次いだ。このペースで申し込みが続けば、抽選が必至だという。
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情報を隠された山口県民はもっと怒っていい
無用の混乱を招く恐れがある──。2020年11月に桁端部が跳ね上がる事故を起こした山口県の上関大橋について、モニタリングデータなどを非開示とした県の言い分だ。日経コンストラクションが公文書開示請求で入手した資料では、点検記録や事故後の損傷状況と思われる箇所も、大部分が黒塗りになっていた。
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ハザードマップを宝の持ち腐れにするな
2021年3月4日に新潟県糸魚川市来海沢(くるみさわ)地区で発生した地滑りは、土砂災害ハザードマップの重要性を浮き彫りにした。実際の地滑りの発生場所が、糸魚川市の土砂災害ハザードマップに示されている土砂災害警戒区域とほぼ一致していたからだ。
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先の見えない時代こそ、「ぶれない整備」を
コロナ禍で、先行きを見通すのが難しい状況が続いている。あと4カ月ほどに迫った2021年の東京五輪・パラリンピックについて、海外からの観客の受け入れを断念することが決まった。1年半前には、会期の延期さえ想像できなかった。
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縄張りだけ守る姿勢と決別を
インフラを管理する組織や技術者の責任について、深く考えさせられる事象が相次いでいる。代表格は、日経コンストラクション2021年2月22日号の特集で紹介した2つの橋の損傷事例だ。1つは山口県が管理する上関大橋の桁端部が跳ね上がった事故。桁端部が跳ね上がる原因となった橋台部のPC(プレストレストコンク…
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「防災計画に終わりはない」
2021年2月13日に福島県沖で発生したマグニチュード7.3の地震で、10年前を思い出した人は多いだろう。今回の地震は、東日本大震災時の地震の余震とみられる。
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増える高齢者や外国人、安全管理に多様な視点を
建設業で2020年に起こった死亡災害の件数は、過去最少の水準となった。厚生労働省が21年1月に公表した速報値によると、年間の死亡者数は240人。これまで最も少なかった19年と比べて6人減った。
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新幹線整備の「甘さ」を断て
国が推進する整備新幹線の建設事業がいずれも難航している。
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i-Conにも温暖化ガス削減の視点を
現場での死傷事故、大災害、データ偽装、インフラの老朽化、人手不足、高齢化──。建設を巡る様々な問題が浮かび上がるたびに、業界は一丸となって対応してきた。2021年は、上記の問題以外に二酸化炭素など温暖化ガスの排出量削減へ本気で取り組む必要がある。
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記述式試験が本当に最適なのか
建設系の会社が集まる就活イベントで学生向けに話す機会が時々ある。例年であれば、大勢の学生と対面し、その反応を見ながら話ができるものの、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンラインで一方通行の話をするほかなかった。
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建設技術者も“転部”で変われる
長年にわたり趣味で演劇を鑑賞している。これまでに見てきた演劇の中で、2009年1月初演の野田秀樹作・演出の「パイパー」は特に記憶に残っている演目の1つだ。松たか子と宮沢りえのダブル主演だった作品そのものに加え、公演パンフレットの内容も印象深いものがあった。
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橋の“アキレスけん”はどこか
「経路の途中にある扉の撮影はご遠慮ください。テロの標的にされるといけないので」。ある海上に架かる吊り橋を取材で訪れた際、橋を管理する職員からこんな事前説明を受けた経験がある。
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建設会社で「ジョブ型雇用」は可能か
「建設会社での『ジョブ型雇用』について、どう考えていますか」
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建設のプロを自覚した行動を
改修工事中に、壁の中から石こうボードの端材などの廃棄物を発見。石川県輪島市にある日本航空学園能登空港キャンパスでの出来事だ。学校を運営する日本航空学園(山梨県甲斐市)が、改修前の建物の工事を請け負った前田建設工業にクレームを入れたところ、同社の代理人弁護士からは次のような回答が返ってきた。「当時の…
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「自己保身」排して住民本位の情報発信を
国土交通省は、マスメディアが使う「緊急放流」という言葉がよほど気に入らないらしい──。
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合意形成を急げ、川辺川ダム論争
「過去最大級の勢力まで発達し、接近する見込みです」。2020年9月、非常に強い勢力を保ったまま日本に近づいた台風10号。九州地方はわずか2カ月前に「令和2年(2020年)7月豪雨」による被害を受けたばかり。住民は気が気でなかっただろう。
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建設DXで業務プロセスにメスを
東京証券取引所は2020年8月25日、経済産業省と共同で「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020」を選定した。DX銘柄とは、19年度まで「攻めのIT経営銘柄」と呼ばれていたものだ。20年度は選定の焦点をDXに絞り込み、名称をDX銘柄に変更した。