日経コンストラクション「記者の眼」
目次
-
熱中症対策、制度面で改善の余地あり
2020年8月は猛暑だった。九州地方を中心として日本各地に多大な被害をもたらした梅雨前線が7月に過ぎ去ると、気温が急速に上昇。8月17日には浜松市で国内観測史上1位タイの41.1℃を記録した。消防庁の速報値によると、20年8月3~23日に熱中症で救急搬送されたのは3万2267人に上る。
-
豪雨被災地で右往左往して考えた
2020年7月7日と8日、豪雨によって球磨川が氾濫した熊本県人吉市とその近辺の被災地を取材した。車で移動した距離が長かった。土砂をかぶったり傷付いたりしている道路のどの区間が通行可能かを把握することが、取材活動に大きく影響した。
-
ぶれる静岡県知事、発言精度を高めよ
「またか」と思った。静岡県の川勝平太知事が国土交通省の藤田耕三前事務次官に、リニア中央新幹線のルート変更を持ち掛けた時だ。
-
現場の近隣対策を施工者に任せ過ぎていないか
先日、午前中から自宅付近の道路で工事が始まった。よくある下水道管の更新工事だが、日曜日に行われたことに驚いた。働き方改革で工事現場を週休2日にすべきだとする声も上がる時世だ。いまだにこのような意識だから、建設業界は就職先として若者に敬遠され続けるのではないかとの憂いも胸中で交錯した。
-
2020年は「グリーンインフラ」が飛躍
新型コロナウイルス感染症に翻弄された激動の「2020年上半期」が終わった。下半期に向けて、勝手ながら建設業界における注目のキーワードを考えてみる。現場に出向かずに監督業務を行う「遠隔臨場」のように、どの業界も新型コロナ対策から派生して様々な言葉が一気に普及し始めた。
-
「地震が発生しても倒れませんか」
「新型コロナウイルスの感染拡大は、あとどれくらいで収束しますか」。緊急事態宣言が出され、人々の外出自粛や店舗の営業自粛などが叫ばれるなか、市民の関心は感染症対策の専門家に向かった。
-
灼熱の現場でもマスク着用は必須なのか
国土交通省と日本建設業連合会が2020年5月中旬にそれぞれ作成した建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインに、気になる一文がある。
-
いったい何を考えているのか
いったい何を考えているのか。外出自粛が叫ばれているこの時期に、「Go Toキャンペーン」とは──。
-
災害とウイルスの複合リスクに備えよ
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国に緊急事態宣言が発令されて1週間ほどがたった。日経コンストラクションの編集部でも原則、在宅勤務になり、各記者が自宅をベースに取材、執筆・編集を続けている。綱渡りで何とか雑誌発行に結びつけている状況だ。
-
工事現場でもテレワークは実現できる
働き方改革や業務効率化が叫ばれて久しいが、組織を挙げて実行できる企業は少なかったのではないだろうか。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で非常事態宣言が出された今、皮肉にも自宅などで勤務する「テレワーク」や「リモートワーク」が一気に普及しつつある。
-
「建設現場だから死者が多い」とは決別できる
建設現場は特殊だから他の産業よりも事故が多いのは仕方ない──。
-
構造物のデータを公開して活用促せ
2019年末、ダム工事の取材で都内の建設会社を訪れた。説明のために準備してもらったのが、現場の3次元点群データだ。点の一つひとつが座標を持つので、筆者が堤体の寸法や土量などを尋ねても、画面上で計測してすぐに教えてくれる。いまや現場に行かなくてもここまで分かるのかと改めて驚いた。ただ、自分で点群デー…
-
「逃げろ」から「守る」への転換を
「3・11」が近づいてきた。2011年3月11日、東日本大震災が発生した。巨大な津波が東北地方を襲い、1万8000人以上が犠牲となった。
-
土木技術者はファンタジーも創れる
前田建設工業に仮想の部署「ファンタジー営業部」が発足し、1件目のプロジェクトを“完成”させるまでの物語が映画化した。「前田建設ファンタジー営業部」(監督:英勉、脚本:上田誠)が2020年1月31日に全国で公開された。
-
変わる10年後の業界勢力図
「10年後、建設業界の勢力図はどうなっているだろうか」。こう自問することが増えた。従来の建設業種の枠組みでは説明できないプレーヤーが、今後の成長の鍵を握るようになってきたからだ。
-
「また壊れちゃった」を繰り返すな
「この堤防は1947年のカスリーン台風の時も決壊したんだよ。壊れる場所はいつも同じだね」
-
インフラから日本の輝きを取り戻す10年に
2020年、新しい10年が幕を開けた。これから10年の建設産業を見渡す際に、筆者は「国際競争力」という視点が新たなカギになると考える。
-
「 日本は面白い」と思わせる社会資本整備を
2020年東京五輪のメインスタジアムとなる国立競技場が完成した。難局を乗り越えて事業を完遂した関係者の努力は賞賛に値する。ここで「もし…」と語るのは無粋だが、故ザハ・ハディド氏の設計案が実現していたら、どんな威容を誇っただろうと想像してしまう。
-
1%の「当たり」より99%の「はずれ」を直視せよ
2019年10月の台風19号では、実際の浸水範囲が浸水想定区域図とほぼ一致したケースが数多く見られた。この結果から、浸水は予測されたものだとして、避難せずに被害に遭った人に対し、自己責任だと断じる声も聞かれる。
-
聞こえのよい施策だけで本末転倒の働き方改革
「働き方改革」という言葉が社会に浸透して久しい。だが、十分に効果が出ているかというと、決してそうではないケースが多いと感じる。