全519文字
PR
4/1朝まで
どなたでも有料記事が読み放題「無料開放デー」開催中!

景観や環境に配慮したインフラをお届けする、日経コンストラクションの長寿コラム「土木のチカラ」。2008年に始めて以降、取り扱ってきたインフラは国内で96件に上る(19年6月の時点)。比較的、新しい案件が中心だが、遺産や遺跡にはない魅力を秘めており、これからの「インフラツーリズム」の商品になる可能性は高い。コラムを担当しているフリーライターの大井智子氏監修の下、この夏にお勧めの「土木のチカラ」ツーリズムを紹介する。

[画像のクリックで拡大表示]

1.インスタ映え必至

清津峡渓谷トンネル(新潟県十日町市)
清津峡渓谷トンネル(新潟県十日町市)
2018年10月8日号「圧巻の渓谷美がもてなす『トンネルの旅』」(写真:安川 千秋)
ひんやりした延長750mのトンネル散策は、異次元への旅を想起させる。色とりどりの洞窟区間や近未来的なアートに包まれた展望所など、ドキドキする体験ばかりで、写真に収めてSNS(交流サイト)で共有したくなる。暗がりから一転、旅の終点での眺めはまさに圧巻。水鏡と壁面ミラーが渓谷の自然をトンネル内に引き込む景観は、絶妙だ。
[画像のクリックで拡大表示]

2.世界遺産に溶け込む橋

滝見橋(静岡県富士宮市)
滝見橋(静岡県富士宮市)
2014年3月10日号「世界遺産の一翼担う小さな橋」(写真:安川 千秋)
虹に包まれた白糸の滝の下流側に架かるほっそりとした優美な橋。遊歩道から見下ろすと、人工構造物のはずが自然景観の大切な要素になっていると感じた。滝は世界遺産の構成資産で、その一翼を担う橋は形状をコンパクトに抑える新しい構造形式を採用し、維持管理費も抑えた。土木技術の粋を結集した、コンクリート橋となった。
[画像のクリックで拡大表示]

3.「読者の評価」最高点

霞橋(横浜市)
霞橋(横浜市)
2013年5月13日号「100年以上も現役の橋を移設し利用」(写真:安川 千秋)
小ぶりな橋だが上部工はインパクトがある。明治中期に完成した鉄道橋が、2回の移転を経たり名前を3度変えたりしながら、今も現役の道路橋として活躍する。保存を望む専門家が多く、横浜市がそれに賛同した。移設先の条件に合わせて、支間長を半分に縮めて再生している。ひし形状のデザインや格点部の構造など、見どころが満載だ。
[画像のクリックで拡大表示]

4.歴史好き必見

擬宝珠橋(鳥取市)
擬宝珠橋(鳥取市)
2019年3月25日号「“水中の最新技術”が支える木製復元橋」(写真:生田 将人)
観光地では砂丘が有名な鳥取だが、それ以外にも必見のスポットがある。JR鳥取駅から約2kmの距離にある鳥取城跡(久松山)と、その玄関口に復元整備された江戸時代の創建を起源とする歩道橋だ。水面下には現代技術を駆使した水中梁が見える。周囲の立派な石垣や歴史的建造物も見ながら、歴史ロマンにあふれた城跡を散策しよう。
[画像のクリックで拡大表示]

5.島でゆっくり滞在を

旧佐渡鉱山北沢地区工作工場群跡地広場、大間地区大間港広場(新潟県佐渡市)
旧佐渡鉱山北沢地区工作工場群跡地広場、大間地区大間港広場(新潟県佐渡市)
2010年11月12日号「鉱山施設の遺構に溶け込む広場」(写真:安川 千秋)
時空をタイムスリップしたような感覚に包まれる。古代遺跡を思わせる円形や段状の構造物は、鉱石から金銀を取り出すための遺構群だ。広場のベンチから、川越しにある施設跡地をいつまでも飽きずに眺めていられる。頭を空っぽにした後は、500mほど離れた大間港広場に移動して、遺構越しの夕日もいい。夕食は島の魚が待っている。
[画像のクリックで拡大表示]

6.夏こそ森林浴へGO

香りの道「登計トレイル」(東京都奥多摩町)
香りの道「登計トレイル」(東京都奥多摩町)
2010年6月11日号「森林浴効果を高める滞留型の道」(写真:吉田 誠)
最寄りのJR奥多摩駅から徒歩15分で、登計(とけ)トレイルの入り口に着く。延長1.3kmの国内初の森林セラピー専用ロードだ。木材チップの道を歩きながら森の香りに包まれると、日常生活で疲れた心と体が少しずつ癒やされていく。誰でも自由に散策できて、随所にベンチやデッキ空間、広場が整備されている。コースの途中にはトイレもある。
[画像のクリックで拡大表示]

7.復興を肌で感じる

女川駅前レンガみち(宮城県女川町)
女川駅前レンガみち(宮城県女川町)
2016年3月28日号「海への眺望生かして復興した駅前空間」(写真:村上 昭浩)
JR女川駅に着くと、レンガで仕上がった広い通り越しに海の景色が迎えてくれる。東日本大震災の多くの被災地に高い防潮堤が建設されるなか、壊滅的な被害を受けた女川町は、あえて海を資源とした街づくりを選択した。「レンガみち」に面した商業施設は、日用品以外に土産品も扱う。駅舎2階には温泉施設もある。
[画像のクリックで拡大表示]

8.見ても歩いても楽しい橋

太田川大橋(広島市)
太田川大橋(広島市)
2014年4月28日号「使い勝手から生まれた独特の線形」(写真:生田 将人)
橋の車道と歩道を分離する──。大胆なアイデアを実現したのは、心地良く楽しく歩ける歩道空間を造るためだ。橋の北側は車道で、堤防や一般道路を乗り越えるために長いアプローチが続く。そこで、南側の歩道は橋からの吊り下げ形式で桁下空間を潜り抜けて、ショートカットさせた。一転して、ダイナミックな海の眺望が開ける。
[画像のクリックで拡大表示]

9.生まれ変わった日本の「顔」

東京駅丸の内駅前広場、行幸通り(東京都千代田区)
東京駅丸の内駅前広場、行幸通り(東京都千代田区)
2018年4月23日号「駅と皇居をつなぐ世界に誇る『景観軸』」(写真:安川 千秋)
10年近い工事期間を経て、東京駅と皇居をつなぐ空間が一新した。駅前には都心の中心地とは思えない約6500m2のオープンスペースが広がる。改修前は車中心の広場構成だったが、多くの観光客やビジネスマンが自由気ままに歩ける、歩行者のための広場に変貌を遂げた。ベンチが豊富な都会の“リビング”で、田んぼが整備されていたかもしれないという伝説を秘めた芝の空間や水盤もある。復元駅舎を背景にした夜景も必見だ。
[画像のクリックで拡大表示]

10.とにかく「土木のチカラ」尽くし1

熊本駅帯山線立体横断施設。2012年4月23日号「橋脚を兼ねる階段で足元すっきり」(写真:右もイクマ サトシ)
熊本駅帯山線立体横断施設。2012年4月23日号「橋脚を兼ねる階段で足元すっきり」(写真:右もイクマ サトシ)
[画像のクリックで拡大表示]
白川「緑の区間」。2015年6月22日号「命題は機能向上と景観保全の調和」(写真:イクマ サトシ)
白川「緑の区間」。2015年6月22日号「命題は機能向上と景観保全の調和」(写真:イクマ サトシ)
[画像のクリックで拡大表示]
熊本周遊コース(熊本駅帯山線立体横断施設、白川「緑の区間」、三角東港広場、天城橋)
まずはJR熊本駅前からスタート。橋脚が階段を兼ねた立体横断施設は、すっきりとした空間を生み出している。次に復興中の熊本城を経由して、市街地を流れる白川で水辺散策だ。川の拡幅時に移設した護岸の大木群が気持ちいい。時間に余裕があれば、JR九州の特急「A列車で行こう」に乗って三角港へ。駅前の三角東港広場には、スタイリッシュなキャノピーが続く。駅からバスで世界遺産の三角西港へ行って、天城橋を遠くに望んで締めくくろう。

11.とにかく「土木のチカラ」尽くし2

長崎市内ぶらり旅(都市計画道路浦上川線、長崎港元船ふ頭、鍋冠山公園展望台、出島表門橋公園、出島表門橋)
長崎市内ぶらり旅(都市計画道路浦上川線、長崎港元船ふ頭、鍋冠山公園展望台、出島表門橋公園、出島表門橋)
都市計画道路浦上川線、長崎港元船ふ頭。2011年1月24日号「管理区分を超えてにぎわいの場づくり」(写真:イクマ サトシ)
観光地長崎で、ガイドブックでは知り得ないのが浦上川沿いの歩道だ。車道よりも歩道を高くしたり、川への見通しに配慮した手すりを採用したり、管理区分を超えて仕上げを連続させたりと、数々の工夫が散りばめられている。また、稲佐山展望台ほどの知名度はないが、長崎港の夜景を間近に感じられるのが鍋冠山公園展望台だ。5つの世界遺産を見渡せる。そして観光地の出島に行く際は、表門橋と公園もじっくり見たい。往時をしのばせる工夫が満載だ。
[画像のクリックで拡大表示]

12.とにかく「土木のチカラ」尽くし3

京都市内ぶらり旅(京都駅八条口駅前広場、堀川、四条通・四条烏丸―四条大橋交差点区間、びわ湖疏水船)
京都市内ぶらり旅(京都駅八条口駅前広場、堀川、四条通・四条烏丸―四条大橋交差点区間、びわ湖疏水船)
堀川。2009年6月12日号「都心に静けさをもたらす水辺」(写真:生田 将人)
改修を経てすっきりとした京都駅八条口の駅前に立ち寄ってから、観光客であふれる四条通に向かおう。車線数を減らして狭い歩道を拡幅した「脱・クルマ中心社会」の一端を体験できる。隠れた名所は市内を流れる堀川だ。10年前の改修で水の流れが復活。掘り込み部の散策では、地上の騒がしさが気にならない。そして、ぜひ体験してほしいのがびわ湖疏水船。春季と秋季の限定で人気のため予約が難しいが、歴史的な橋やトンネルをくぐる体験は秀逸だ。
[画像のクリックで拡大表示]

日経コンストラクションのウェブサイトである「日経 xTECH」では、7月中旬から日経コンストラクションで伝えきれなかった情報を掲載します。インフラツーリズムの体験記や有識者のインタビュー、これまでに紹介した全ての「土木のチカラ」(国内)をプロットしたマップとリストなどを公開する予定です。