工事現場の空撮や測量で常識となりつつある建設業界のドローン活用。その勢いは加速し、次々と新たな用途へと活躍の場を広げている。河川や山のインフラ維持管理に加え、構造物の出来形計測から工程管理まで。革新を続けるドローンの最前線を取材した。

常識を変えるドローン活用
目次
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河川や砂防の日常点検に
管理者自ら利用領域を拡大
測量や空撮など民間会社が先導してきたドローンの活用に、国土交通省が本格的に乗り出した。河川や砂防施設の点検や管理で、日常的に使うのだ。基準の作成やマニュアル整備に向けた動きも活発になっている。インフラ維持管理の新しい形を一足先に見てみよう。
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見えた! 出来形管理への道
標定点をなくせ
ドローンを使った空中写真測量で、標定点の設置だけが自動化から取り残されてきた。ところが、現場を歩き回る必要があるこの作業を省略する技術がついに現れた。その先には、ドローンがミリメートル単位の精度で構造物を計測し、出来形管理を担う未来が広がる。
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ダムを点検 音波を武器に水面下に踏み込め
用途広げる新技術が続々
空を飛ぶばかりがドローンではない。近年盛り上がりを見せるのが、水中ドローンの市場だ。従来、ダムや桟橋などの水中部の点検は潜水士が目視するしかなく、手薄になりがちだった。水中ドローンは、こうした難題を解決する。 ベンチャー企業のフルデプス(東京都台東区)が独自に開発した「DiveUnit(ダイブユニ…
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橋を点検 ドローン伝道師が仕掛ける価格破壊
用途広げる新技術が続々
「50万円以下の市販ドローンでも橋は点検できる。予算の少ない自治体でも導入可能だ」
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地下を調査 磁場の変化で地質を空から「透視」
用途広げる新技術が続々
ラグビーボールのような形の白い受信機をぶら下げたドローンが山間部に向けて飛び立った。人の立ち入りが困難な険しい山の地下に分布する地質や地下水を、空から「透視」するためだ。
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管内を点検 土砂と水を乗り越えて暗闇を走る
用途広げる新技術が続々
直径800mmを超える「中大口径」の下水道管は、一般に人が中に入って点検する。だが、底部に土砂や泥がたまって立ち入れない場所は多い。撤去しようにも、管路の奥まで積もった土砂は大まかな量の把握すら難しい。手探りで土砂を除去しながら点検を進めるしかなかった。
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橋を補修 もはや建機、1時間飛べる驚異のスタミナ
用途広げる新技術が続々
北海道内に点在する基地からドローンが飛び立ち、数キロメートル離れた橋に自動で補修材を吹き付けて帰還する─。會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市)が、そんな計画を打ち立てた。もちろん、実現可能と踏んでのことだ。
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「空飛ぶ現場監督」にお任せ
工程や安全も見守る
毎日歩き回って現場をチェックする建設会社の監督。ドローンが現場を巡回するのが当たり前になれば、業務の一部を任せられそうだ。既に工程や安全の管理に使う事例が出始めた。現場発の技術革新は、災害時のドローン活用にもつながる。