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静岡県熱海市で発生した大規模な土石流は、住宅や車を巻き込みながら一気に市街地を流れた。崩壊の起点となった最上流部の盛り土が被害を拡大した原因と指摘されている。静岡県の難波喬司副知事は、「盛り土の工法は不適切だった」との見解を示す。

 静岡県熱海市の伊豆山地区で、2021年7月3日午前10時半ごろ、大雨の影響で大規模な土石流が発生した。JR熱海駅から北に約1.5km離れた逢初(あいぞめ)川沿いで、土砂が海に向かって2kmほど流れ落ちた。土石流は複数回起こり、多くの住宅や車が流された(写真1)。

写真1■ 大量の土砂が市街地に流れ込み、住宅や車を巻き込んだ。7月3日撮影(写真:AFP/アフロ)
写真1■ 大量の土砂が市街地に流れ込み、住宅や車を巻き込んだ。7月3日撮影(写真:AFP/アフロ)
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 静岡地方気象台によると、静岡県で雨が降り出したのは6月30日午後6時ごろ。断続的な雨で、降り始めから7月3日午前5時までの降水量は複数箇所で400mmを超えていた。これは、平年の7月の1カ月雨量を上回る。

 熱海市は、5段階の警戒レベルで3番目に高い「高齢者等避難」を7月2日午前10時に発表。その後、2番目に高い「避難指示」は出さず、土石流発生の約30分後に、最も高い「緊急安全確保」を発令した。

 静岡県が公開するハザードマップによると、災害が発生した伊豆山地区は、土石流発生の危険性が高い「土石流危険区域」の範囲とほぼ重なる。同地区は土砂災害の発生しやすい土砂災害警戒区域にも指定されていた。

 しかし、19年10月に猛威を振るった東日本台風(台風19号)では、伊豆山地区周辺で大きな土砂崩れは起こらなかった。この際、伊豆山地区に最も近い熱海市網代の観測地点では、24時間降雨量が200mmを超える強い雨を記録した。

 土石流が発生した今回は、同観測地点で24時間降雨量が200mmを超えていない。土石流が発生した午前10時ごろの1時間雨量は27mmで、50mm以上の非常に激しい雨は降っていなかった。

 短時間に集中して降る雨ではなかったものの、7月1日から7月3日まで24時間雨量が100mmを上回る雨が降り続いていた。長時間にわたって雨が降り続けると、土の中に水分が蓄積しやすい。長時間の雨は、土石流発生の一因とみられる。