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人は誰しも「認められて働きたい」と思っている。自分の仕事に自信を持てたり、上司や同僚から評価されたりすると、職場に「働きがい」を感じるものだ。若手が「自分は認められている」と実感できれば、仕事に対する意欲や能力が高まるだろう。そのためには、上司や先輩が適切に褒めて叱り、自らの権限を委譲することが重要だ。人事評価制度や表彰制度を整備して、若手のやる気を引き出す「制度改革」に取り組む必要もある。(日経コンストラクション)

 働きやすさとやりがいを備えた「働きがい」のある職場を実現する「建設版 働き方改革」──。今回は、心理学者のアブラハム・マズローが唱えた欲求5段階説の「承認の欲求」を満たす職場作りを考える。

 「承認の欲求」とは、欲求5段階説の第4段階に当たる。職場で言えば、「認められて働きたい」という欲求だ。これが満たされると、自分は世の中で役に立つ存在だという思いが湧き、仕事にやりがいを感じる。

 人が認められていると思うのは、褒められたときだ。承認の欲求を満たすには、褒めることが重要だ。褒め上手な人ほど「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えている。言葉だけでなく、カードに感謝の気持ちを書いて手渡すのも効果的な方法だ(写真1)。

写真1■ サンキュー&グレイトカード。感謝の気持ちを伝えるために使う
写真1■ サンキュー&グレイトカード。感謝の気持ちを伝えるために使う
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 褒め方には、「結果承認」「行動承認」「存在承認」の3つがある。結果承認とは、「君が描いた図面は分かりやすい」など、相手の行為の結果を認めることだ。行動承認とは、「君のあいさつは気持ちいい」など、相手の行動を認めることに当たる。存在承認は、「君がいると現場が明るくなる」など、相手の存在を認めることだ。このうち、最も効果的な褒め方は「存在承認」だ(図1)。

図1■ 「存在承認」が最も効果が高い
図1■ 「存在承認」が最も効果が高い
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 「自分は褒め上手だ」と思っている人も、図2のリストで診断してほしい。チェックが多く付いた場合、褒め下手である可能性が高い。

図2■ チェックが多いと「褒め下手」
図2■ チェックが多いと「褒め下手」
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 一方、叱り方はどうか。褒め方と同様に、「結果」「行動」「存在」の3つがある。最も効果的な叱り方は「行動」を叱ることだ(図3)。「報告書の提出が遅い」「集合時間に遅れる」などの場合は、本人に自覚を促すためにも、きちんと叱らなければならない。「部下に嫌われるので叱れない」「叱ったら会社に来なくなるのでは」などと考えて、叱らないのは駄目だ。自分が叱り下手かどうかを、図4のリストでチェックしてほしい。

図3■ 「行動」を叱るのが最も効果的
図3■ 「行動」を叱るのが最も効果的
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図4■ チェックが多いと「叱り下手」
図4■ チェックが多いと「叱り下手」
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 人間の脳は3層構造になっていると言われる。一番奥に本能、その外側に感情、さらに外側に思考の3つがある。蛇やワニなどの爬虫(はちゅう)類は本能だけを、犬や猫などの哺乳類は感情までの脳を持つ。そして、思考までつかさどる脳を持つのは人間だけだ(図5)。

図5■ 人だけが考える脳を持つ
図5■ 人だけが考える脳を持つ
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 感情に任せて褒めたり叱ったりするのは、感情の脳しか使っていないことになる。それでは犬や猫と同等だ。人間であれば、人間だけが持つ思考する脳を生かして、必要なときに必要な方法で褒めたり叱ったりしなければならない。それによって、相手のモチベーションを高められる。