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 2016年ごろから盛り上がり始めた建設分野でのAI(人工知能)活用。建設業界の会社がスタートアップや異業種と組んで技術を開発し、施工や施工管理、災害対応など様々な分野に使い道が広がっている。

 ブームの火付け役となったのは、コンピューターがデータの分類方法を自ら学ぶ「機械学習」というAI技術だ。機械学習が得意とする画像認識と、見た目を基に構造物の損傷や品質を判断する機会が多い土木の仕事は、親和性が高い。

 例えば、山岳トンネルの発破後の切り羽で、地質の強度を画像から解析する技術の開発が進む。熟練技術者の経験に頼らずに施工できる他、技術者が切り羽に近づいて崩落に巻き込まれる危険も減らせる。

 AI活用の中心となっているのが維持管理だ。インフラの点検や診断を有望な市場とみて、様々な産業から事業者が集まる(図1)。5年に1度の法定点検での実用化を目指し、20年も盛んな開発が続きそうだ。

図1■ 維持管理AIの開発に異業種が相次いで参入
図1■ 維持管理AIの開発に異業種が相次いで参入
2017~19年度の各社の報道発表資料や取材を基に日経コンストラクションが作成。維持管理段階のAIを用いた研究開発やサービスをまとめた。開発に取り組む企業や研究機関の名称と技術の概要を示した。白抜きの会社はスタートアップやAIの開発会社など建設業界外、黒字の会社は建設会社や建設コンサルタント会社など業界内をそれぞれ表す
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 こうした動きを国も後押しする。国交省は、AIがデータの見分け方を学ぶ際に使う「教師データ」を開発者に提供するため、構造物の写真や技術者の正しい判断をまとめたプラットフォームの整備を検討。数百、数千に上る数のデータを集める手間を省けるようにする。さらに土木研究所では、民間企業など25団体と共同で、21年度まで道路橋の点検・診断AIの開発に取り組む(図2)。

図2■ 国の後押しで道路橋の診断AIの開発が進む
図2■ 国の後押しで道路橋の診断AIの開発が進む
土木研究所が開発を目指す診断AIのイメージ。AIブームをけん引する「深層学習」は使わず、「エキスパートシステム」と呼ぶ技術を使う。AIが答えを導いた過程が分かりにくくなるブラックボックス化を回避する。土木研究所の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 多くの事業者が維持管理AIの開発を進めるなか、20年は実証実験を行う事例の増加が期待できる。

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