
2020年の土木界
目次
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建設3Dプリンター、開発競争は海外が先行
建物や橋といった大型構造物を3Dプリンターで建設する技術が、世界各国で目立ってきた。調査会社テックサイ・リサーチは、2024年までにコンクリート系の3Dプリンティングの世界市場が約5800万ドルに膨らむと見込んでいる。
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AI、自治体の橋で診断AIの実験続々
2016年ごろから盛り上がり始めた建設分野でのAI(人工知能)活用。建設業界の会社がスタートアップや異業種と組んで技術を開発し、施工や施工管理、災害対応など様々な分野に使い道が広がっている。
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プレキャスト、新工法で工期短縮を一段と加速
工期短縮や省人化などを目的にプレキャスト部材が増えている。2020年は新工法の採用が加速しそうだ。
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グリーンインフラ、プラットフォーム設立元年に
2015年に国土形成計画に登場して以来、様々な政府文書に盛り込まれているグリーンインフラ。19年も「未来投資戦略2019」や「国土強靱化年次計画2019」に記載されるなど、あらゆる事業の検討プロセスで、グリーンインフラへの考慮が求められる時代になってきた。20年はいよいよ、国土交通省がグリーンイン…
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消音テック、騒音・振動対策が技術力の差に
2017年度の環境省の調査によると、全国で生じた騒音と振動に関わる苦情のうち最も多いのが、建設作業を発生源とするものだ。振動への苦情では約7割を占める。
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公共交通の自動運転、無人の電動カートが定期運行
公道を走る無人自動運転車による移動サービスが、2020年度から福井県永平寺町などで始まる。経済産業省と国土交通省が共同で16年度から進めている「ラストマイル自動運転」の実証プロジェクトの一環だ。最終年度となる20年度は、これまでのような期間を区切った実証実験ではなく、定期運行として自動運転サービス…
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ゼネコン研究開発投資、20年代前半に勝負を賭ける
建設会社が2020年代前半までの中期経営計画で、大胆な投資計画を次々と発表している。好況が続くうちに、人手不足や建設産業の縮小に備えた研究開発を進め、新たな収益基盤の確保を図る。
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東京都心の主要駅整備、虎ノ門ヒルズ駅と高輪新駅が開業
東京都心部では、五輪開催に合わせて進んできた市街地再開発の要となる新駅の整備や既存駅の改良が、2020年に大きな節目を迎える。
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関西圏鉄道網、新線建設で関空と都心を近づける
JR大阪駅北隣の梅田貨物駅跡地にオフィスや商業施設、公園などを整備する「うめきたプロジェクト」。大阪最後の一等地である敷地西端を走るJR東海道線支線を、大阪駅に近い東寄りに移設、地下化して新駅の北梅田駅(仮称)を造る工事が最盛期を迎えている。
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首都圏道路網、五輪後見据え3環状の整備が山場
2020年東京五輪には間に合わなかったものの、首都圏3環状道路の完成が見えてきた。首都高中央環状線は15年に全線の47kmが開通、300kmある首都圏中央連絡自動車道(圏央道)も270kmが開通済みだ。
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関西圏道路網、大阪中心部で2路線の供用を開始
関西圏では2020年の年初から春にかけて、阪神高速道路会社が2路線の供用を開始する。大阪中心部の渋滞緩和への貢献が期待されている。
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地方の主要道路、中部横断道や復興道路が延伸
大都市圏以外の主要道路では、国と中日本高速道路会社が整備する延長132kmの中部横断自動車道で、事業化済みの全区間が2020年に開通する見通しだ。中部横断道は長野、山梨、静岡の各県の山岳地帯を貫く工事の難度が高く、これまで開通の延期を繰り返してきた。中部横断道の総事業費は当初よりも6割近く膨らみ、…
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新幹線、2大事業の難局打開に向け調整継続
リニア中央新幹線と九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)の建設工事が、いずれも地元の反発に遭い、一部区間で着工できずにいる。政府は2020年も地元との調整を進める方針だが、予断を許さない状況だ。
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滑走路の増設、那覇・福岡に成田も続く
インバウンド需要の拡大や近隣国とのハブ空港の地位を巡る競争の激化などに伴い、日本の拠点空港で滑走路を増設する動きが活発になってきた。
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クルーズターミナル、国際クルーズ拠点の整備相次ぐ
全国各地でクルーズターミナルを新設・拡張する動きが広がっている。東京港では2020年7月の東京国際クルーズターミナルの供用に向けてターミナルビルを建設中だ。
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バスタプロジェクト、全国展開に向け法整備進む
中長距離輸送を担う高速バスの専用ターミナルを主要な鉄道駅前に集約する「バスタプロジェクト」が全国に広がろうとしている。
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新型物流インフラ、物流の進化が道路を革新
先頭のトラックだけ人が運転し、後続車は自動運転で追従させて無人化する「隊列走行」が、東京─大阪間の高速道路で実現しそうだ。国土交通省は、2021年までに後続車有人、22年以降に後続車無人の隊列走行システムの商業化を目標に掲げる。
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ナショナルサイクルルート、自転車道で訪日外国人を呼び込む
政府は、2020年に4000万人の訪日外国人旅行者を呼び込む方針を打ち出した。集客力を高めるための新たな観光資源として国土交通省が推進するのが、自転車で地域を巡る「サイクルツーリズム」だ。
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五輪時の渋滞対策、開催期間中は都心の工事を抑制
東京都は、2020年夏の五輪とパラリンピックの開催に合わせて、路上工事などを制限する。大会期間中の交通渋滞を緩和する狙いがある。
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洋上風力発電、SEP船に未来を託す
沖合に風車を設置する洋上風力発電事業に建設会社が乗り出している。法整備などによって沖合の一般海域で洋上風力発電事業を実施できる環境が整い、発電設備の設計や調達、建設事業の発注が増えると見込んでいるためだ。