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 建設コンサルタント会社にとって技術士資格の保有者数は、技術力を示す重要な指標だ。各社とも資格取得の支援に力を注ぐ。取得済みの社員に、これから受験する社員の教育係として指導させる会社も多い。

 社員を対象とした技術士受験講座を運営する中日本建設コンサルタント(名古屋市)は、その充実したカリキュラムの概要を自社のウェブサイトで公開し、社員教育への注力を社外にアピールする(図1写真1)。

図1■ 中日本建設コンサルタントは社内で「受験講座」運営
図1■ 中日本建設コンサルタントは社内で「受験講座」運営
自社のウェブサイトで技術士資格の取得支援の概要を公表。社内ではグループウエアを使い、受講者向けの情報を共有している(資料:中日本建設コンサルタント)
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写真1■ 中日本建設コンサルタントの本社が入居する名古屋市内のオフィスビル(写真:日経コンストラクション)
写真1■ 中日本建設コンサルタントの本社が入居する名古屋市内のオフィスビル(写真:日経コンストラクション)
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 講座の内容は、論文の添削指導や模擬試験などだ。各受験者に付けられた「指導技術士」が添削指導や口頭試験の訓練などを担う。指導技術士は課長や部次長クラスの社員が中心で、1人当たり2、3人の受験者を受け持つことが多いという。

 指導の仕方はある程度、個々の部署や社員に任せている。

 例えば、道路や橋梁を担当する建設技術本部第1部は、受験者と異なる課から指導技術士を出すようにしている。指導技術士にとって部下以外の社員を受け持たなければならないので負担は増える。それでも「受験者と日常的な接点が少ないことが、第三者に説明できる文章力を身に付けさせるうえでメリットになる」と、指導技術士を務める第1部第3課の中村治課長は説明する。

 環境技術本部第2部の指導技術士の青山浩之課長は、受験者を放任して自主性だけに任せると、担当業務に気を取られるなどして詰めが甘くなると考え、試験直前までしっかり指導する方針を取る。

 実は以前、指導する受験者が筆記試験の1カ月前の社内模試で好成績だったので、その後の勉強を本人に任せたところ、苦杯を喫したことがあったからだ。技術士試験の手ごわさを痛感した青山課長は、翌年は本番直前まで指導して合格に導いた。

 水工技術本部第3部の指導技術士である塩瀬隆広課長は、自身の受験では当初、たびたび合格を逃すなど苦労した。この経験を受験者に話し、受験を始めて1、2回の“短期決戦”で取得するよう指導している。塩瀬課長の場合、10年ほどブランクを空けて気持ちを一新したことで合格を果たせた。

 中日本建設コンサルタントが技術士受験講座を開講したのは2009年だ。2000年代初頭は建設産業の業況が悪く、同社も新卒採用を抑制せざるを得なかった。その結果、社員の平均年齢は上昇。中でも技術士資格を保有する社員は08年時点で50歳以上が55%を占めたという。

 危機感を覚えた同社は、それまで個々の社員任せにしていた技術士などの取得を、全社を挙げて継続的に支援する方針に転換した。

 毎年5人以上の社員に技術士を取得させる目標を掲げて講座を開講。「18年度までの10年間で技術士を新たに取得した社員は53人に上る。複数の部門や科目で取った社員を含めると延べ68人に達し、目標を達成した」(建設技術本部第2部の野澤孝之部次長)。

 現在の同社は従業員数400人弱で延べ160人ほどの技術士がいる。大手建設コンサルタント会社に負けない技術力という新たな目標を掲げて、技術士受験講座を継続している。