選択科目IIは出題の予測が難しく、学習範囲が絞りづらい。とはいえ、必須科目Iや選択科目IIIと同様に直近の国土交通政策が出題されやすい。2019年度に実際に出た選択科目II-1やII-2の問題を例に挙げながら、記述方法や情報収集のコツについて伝授する。(日経コンストラクション)
1.選択科目IIと国土交通政策
2020年度の技術士第二次試験の受験案内にあるように、「選択科目II」は受験者の選択した科目に関する専門知識を問うII−1と応用能力を問うII−2に分かれる(図1)。II−1では4問から1問を選択し、答案用紙1枚に記述する。
問題の種類 | 配点 | 試験方法・用紙 | 解答時間 |
I 必須科目 | 40点 | 記述式 (600字詰め用紙3枚以内) |
2時間 (午前10時~正午) |
「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力および課題遂行能力に関するもの | |||
II 選択科目 | 30点 | 記述式 (600字詰め用紙3枚以内) |
3時間30分 (午後1時~午後4時30分) |
「選択科目」についての専門知識および応用能力に関するもの | |||
III 選択科目 | 30点 | 記述式 (600字詰め用紙3枚以内) |
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「選択科目」についての問題解決能力および課題遂行能力に関するもの |
他方、II−2では2問から1問を選択し、答案用紙2枚に記述する。特にII-2については、全部門全科目にわたって小問(1)から(3)まで同じ内容である点が特徴だ。
II−1は科目ごとに広い分野からまんべんなく出題され、重要なキーワードや新技術が問われる(図2)。II−2では、具体的な条件が設定されている。その条件下で、業務を遂行する手順と留意点、工夫を要する点などが問われる(図3)。
試験方法・用紙・配点など | 記述式、4問中1問を選択して解答(600字詰め用紙1枚以内)、配点10点 |
概念 | 「選択科目における技術分野の業務に必要で幅広く適用される原理などに関わる汎用的な専門知識 |
出題内容 | 「選択科目」における重要なキーワードや新技術などに対する専門知識を問う |
評価項目 | 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、コミュニケーションの各項目 |
試験方法・用紙・配点など | 記述式、2問中1問を選択して解答(600字詰め用紙2枚以内)、配点20点 |
概念 | これまでに習得した知識や経験に基づき、与えられた条件に合わせて、問題や課題を正しく認識し、必要な分析を行い、業務遂行手順や業務上留意すべき点、工夫を要する点などについて説明できる能力 |
出題内容 | 「選択科目」に関係する業務に関し、与えられた条件に合わせて、専門知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき、業務上で留意すべき点や工夫を要する点などについての認識があるかどうかを問う |
評価項目 | 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、マネジメント、リーダーシップ、コミュニケーションの各項目 |
選択科目IIは出題の予測が難しく、学習範囲が絞りづらい。それでも、必須科目Iや選択科目IIIと同様に直近の国土交通政策が出題されやすいという特徴は同じだ。
19年度に実際に出た選択科目IIの問題の一部を図4に示す。国土交通政策に関連した出題だ。おおむね1年以内の政策が出題されやすいと分かる。
科目 | 2019年度の出題例 | 関連する国土交通政策 |
都市計画 |
II-2-1
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「復興まちづくりのための事前準備ガイドラインについて」(2018年7月) |
河川砂防 |
II-1-1
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「堤防等河川管理施設及び河道の点検・評価要領」(2019年4月) |
II-1-4
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「高潮浸水想定区域図作成の手引き」(2015年7月) 「海岸保全に関する取組の現状」(2019年10月) |
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II-2-1
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「河川事業概要2019」 | |
港湾空港 |
II-2-1
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「港湾の堤外地等における高潮リスク低減方策ガイドライン」(2019年3月) |
道路 |
II-1-2
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「道路法改正」(2018年3月) 「重要物流道路制度の創設」(2018年5月) |
II-2-1
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「生産性革命プロジェクト」貫徹の年(2019年) | |
施工計画 |
II-1-2
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「多様な入札契約方式の活用に向けて」(2017年~) |
建設環境 |
II-1-1
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「平成30年度建設副産物実態調査」(2019年6月) |
都市計画や河川砂防、港湾空港、道路、電力土木といった計画系の科目では特に出題されやすい。
それ以外の工学系の科目(土質および基礎や鋼構造およびコンクリートなど)でも、防災・減災や維持管理といった最近のテーマが出題されやすい。