「ウチの会社には人がいますよ」。こんなせりふが受注の決め手になるほど、建設業界は人材不足にあえいでいる。数少ない学生との出会いを増やし、相思相愛の新卒採用につなげるには。若手の実態に迫るとともに、若手獲得に奮闘する採用の現場を取材した。

「ウチの会社には人がいますよ」。こんなせりふが受注の決め手になるほど、建設業界は人材不足にあえいでいる。数少ない学生との出会いを増やし、相思相愛の新卒採用につなげるには。若手の実態に迫るとともに、若手獲得に奮闘する採用の現場を取材した。
せっかく採用したのにすぐ辞めた──。そんな若手があなたの周囲にいないだろうか。彼らは何を思い、何を考えたのか。入社早々に転職を決意した若手2人の実話からひもとく。建設業界に勤めながらも、入社前後のギャップに戸惑う若手の姿が見えてきた。
応募書類を提出する企業はわずか数社、しかも卒業前年の4月ごろには就職活動を切り上げてしまう。日経コンストラクションのアンケート調査から浮かび上がった土木系学生の就活実態だ。企業は学生と接触できるわずかなチャンスを逃さず、仕事内容や面白さをアピールする必要がある。
人材確保に苦戦しているのは民間企業だけではない。自治体でも土木系技術職員の担い手不足や定員割れが深刻だ。採用試験の受験資格の緩和や試験時期の前倒し、筆記試験の撤廃など、異例の取り組みが各地で相次ぐ。
理系出身の学生にこだわらず、文系出身者も積極的に採用して施工管理を担ってもらう。災害復旧などで活躍する建設業界に興味を持つ学生は理系・文系を問わない。海外事業の拡大などを見据え、外国人留学生の新卒採用も広がっている。
人手不足にあえぐ建設業界で急成長する会社がある。東京都港区に本社を置く中央建設だ。過去5年間で社員数は4倍、売上高は5倍に増えた。営業の決めぜりふは「ウチの会社には人がいますよ」。同社の渡部功治社長に人材獲得の極意を聞いた。
建設会社などが現場見学会だけで他社と差別化するのは難しく、学生への訴求力にも欠ける。各社独自の取り組みや特徴は何かを見極め、インターンシップや会社説明会で仕事内容や会社の雰囲気を学生に疑似体験してもらおうとする試みが始まっている。
少子化で学生の絶対数が減るなか、まずは建設業界を志す人材を増やさなければならない。しかし、個々の会社での取り組みには限界がある。就労環境の改善や就職活動の在り方を業界全体で変えていこうとする動きがある。
土木業界の採用活動を変えようと動いているのは企業だけではない。鳥取県では、大学生が主体となって地元の企業と交流を深めようとする取り組みが始まっている。