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応募書類を提出する企業はわずか数社、しかも卒業前年の4月ごろには就職活動を切り上げてしまう。日経コンストラクションのアンケート調査から浮かび上がった土木系学生の就活実態だ。企業は学生と接触できるわずかなチャンスを逃さず、仕事内容や面白さをアピールする必要がある。

 6.21倍。リクルートワークス研究所が2019年4月に発表した建設業の大卒求人倍率だ。企業の求人総数を、20年3月に大学を卒業して就職を希望する学生数で除した。

 一般的に1.6倍を超えると、学生側に有利な「売り手市場」といわれる。建設業の倍率は全業種平均の1.83倍を大きく上回る圧倒的な売り手市場となっている。こうした環境下で企業が学生の応募者を増やし、優秀な人材を獲得するための戦略とは何かを探っていこう。

 まずは土木・建設系の学生について、就職活動の動向を見ていく。日経コンストラクションが建設業界に勤める若手や、就活を経験した土木・建設系の学生を対象にアンケート調査を実施したところ、狙いを絞って短期決戦で挑む“省エネ型”の就活実態が浮かび上がってきた。

 回答者の68%が応募書類などを提出した企業を5社以下に限定。うち1社にしかエントリーしなかった人も17%いた(図1)。

図1■ 7割近くが5社以下に絞る
図1■ 7割近くが5社以下に絞る
日経コンストラクションのアンケート調査結果を基に作成
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調査概要)  

 「理系の中でも特に建設系の学生は、大学などに入った時点で自分が将来どんな仕事に就きたいのか、明確になっている人が多い」。学生の就活や企業の採用動向に詳しいリクルートキャリア就職みらい研究所の増本全所長はこう分析する(写真1)。同研究所の調査によると、19年卒の学生がエントリーシートなどを提出した企業数は全業種平均で13.5社だった。

写真1■ リクルートキャリア就職みらい研究所の増本全所長(左)と、同社金融・建設不動産営業部でキャリアアドバイザーを務める箕輪真人氏(写真:日経コンストラクション)
写真1■ リクルートキャリア就職みらい研究所の増本全所長(左)と、同社金融・建設不動産営業部でキャリアアドバイザーを務める箕輪真人氏(写真:日経コンストラクション)
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 教授などの紹介で、企業が優秀な学生を1本釣りするケースが増えているわけではなさそうだ。「教授の紹介だと辞めづらくなるという理由で敬遠する学生が多い」。ある建設会社の採用担当者はこう打ち明ける。

 とはいえ、建設会社をはじめとする企業側も、土木系の学科の新卒者に絞って採用したいという思いがある。土木施工管理技士などの受験資格が、他の学科を卒業する学生よりも短い実務経験年数で得られるからだ。より若い段階で監理技術者などを任せやすくなる。

 建設会社か建設コンサルタント会社か──。土木系の学生の中には、この選択肢さえ就活前に絞り込んでいる人もいる。

 特に顕著なのは、建設会社を就職先に選んだ人だ。日経コンストラクションのアンケート調査で該当する61人のうち、39人が建設会社だけに応募。建設コンサルタント会社を就職先に選んだ人も、半数が建設コンサルタント会社だけに絞って就活している。

 例外は、国と自治体、加えて高速道路会社や鉄道会社といった公益企業などの発注機関を就職先に選んだ人だ。約7割が建設会社や建設コンサルタント会社など、発注機関以外にもエントリーしている。

 国や自治体は通常、採用の合否が判明する時期が民間企業よりも遅い。公務員志望の学生が滑り止めとして、建設会社などを併願しているとみられる。

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